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 臨床の報告です
不整脈

福岡市在住
65歳 女性

 平成13年11月頃より不整脈が1日に2〜3回ありました。あまり気にしていませんでしたが、平成14年2月頃より、少しずつ不整脈の回数が増えてきました。「そのうち治るだろう」と、ほっておいたのですが… 4月頃より不整脈が、またまた多くなったので、稲舛先生より井穴刺絡をしていただきました。自分でも左右のH3、H6、H1をしましたところ、4日位したら、ほぼ良くなりましたが、10日したころには不整脈を感じなくなりました。。
 ずいぶんと良かったのですが、平成15年3月に、一晩中不整脈で眠れなくなり、早朝、稲舛先生のところへ行ってH3H6の井穴刺絡をすると良くなりました。首肩のコリも井穴刺絡をしてもらい、また、皮内針で痛みをとってもらいました。
 それっきり、現在まで不整脈は起こっていません。


捻挫?…骨折
 今年の4月21日、筍掘りに行って、斜面で足を滑らせ、左腓骨下部を骨折してしまいました。すぐに稲舛先生のところで井穴刺絡とバンキー(吸玉)をしてもらいました。
 当初、骨折しているとは思わなかったので、2、3日もすればよくなると思ってましたが、その後2日井穴刺絡をしてもらったのですが、腫れがひどくなったので病院でレントゲンをとってもらったら骨折と言われ入院することにしました。その後は刺絡はしていませんが、痛みは左足を固定して足を安静にし、冷やして高くしておくとほとんど痛みませんでした。痛まないので、痛み止めの薬は一度も飲まずにすんでいます。
■刺絡のおかげで?病院に行くまでも痛みもなく、お酢とサトイモの湿布をしていました。

緑内障
 眼科で緑内障と診断されました。症状は、目の上半分が三日月型にボーっとしていて、中央に黒い線があり、中に点がありました。
 点眼をしているけど井穴刺絡をしてみたいと言われました。井穴刺絡は、F2、F6、F4です。1回目の刺絡で目の上の三日月型のくもりが消え、2回目で中央の黒い線が取れ、3回目で点が取れ、その後病院に言ったら、緑内障ではないと言われたそうです。

気管支喘息

21才、女性

 既往症/花粉症(アレルギー疾患)
 体 質/低血圧・貧血で顔色が良くない。風邪をひきやすく、鼻水と咳が出る。
  平成14年2月に学校の旅行先(雪山・スノーボード)で、呼吸困難で救急車で運ばれたことがある。
  その時は、酸素吸入でよくなった。

平成15年4月20日(日) 休日診療で当直の医師から「気管支炎」と診断された。
  酸素吸入したが効果なし。咳のため夜は眠れない状態が続く。

 4月21日(月)担当の医師の診断で「気管支喘息」と言われ、即入院(1週間)をすすめられた。
肺活量が普通の人の半分以下であり、呼吸困難に陥るかもしれないからといわれた。
  再度、酸素吸入も効果なし。 入院を断ると誓約書を書かされた。

  ■この日の夕方、ぎんなん治療院にて井穴刺絡をしてもらった。

  H5F5の井穴刺絡を2回治療したとたん、体がポカポカして気分が良くなり、咳、呼吸が楽になった。
その夜は、4時間に1度くらい目が覚めたが、久しぶりに眠れた。

  4月22日(火)いつも通りに仕事に出かけることができた。
自分でH5F4の井穴刺絡をする。しばらくして、痰が出始めたので、指示通りH1H6の井穴刺絡をする。

   完全に体調が戻ったのは、5月の連休明けであるが、入院もせず、薬も飲まずに
   良くなったのは、井穴刺絡のおかげである。
   感謝しておりますと同時に、娘が東洋医学(井穴刺絡)のすばらしさに気付いた
   ことが一番の収穫と思っております。


 50才 女性
 O クローン病

 1日に12回の排便あり。入院も数度、ステロイドも使ったが今は止めている。体重が20kg近く減ったこともあったそうです。現在は、和食中心にして自宅療養中。兄弟に潰瘍性大腸炎、家族にアレルギー疾患を持つ者もあります。
 ちょうど、排便をもよおしてきた(まさにトイレに行こうかという時)F5の刺絡をすると、「おなかが落ち着いてきた」H5も終わったときには、ずいぶんとおなかが楽になったとのこと、しかし、まだ今一ビシッとしないので、もう1回H5F5刺絡をしました。 終わったら、「あー、元気が出てきました」と、トイレも使わずに帰られました。


 60才 女性
 M 左膝痛、腰痛、
肩こりetc

 既往歴として、虫垂炎手術、扁桃炎手術、甲状腺手術、子宮筋腫手術、不眠、肩こり、腰痛、膝痛、冷え性、アトピー性皮膚炎、喘息、鼻や眼の痒みがあります。
 アレルギー疾患がいろいろあり、低血圧なので、寝てもらいH5F5の刺絡をしました。膝は前面、内外側の痛みがあるので、左足のF1F2F3F4F6の刺絡をしましたら、膝がとっても楽になったそうです。腰痛もあるので、右足のF4の刺絡で痛かった後屈が楽になりました。
 両肩のこりは、H6H4と百会の刺絡で楽になりました。



 極度の肩こり

 首を後ろに曲げると痛い(膀胱経F4、胃経F6)、右横に曲げると痛い(胆経F5)、横に廻すと肩の上が痛い(大腸経H6)斜め下で首が痛い(小腸経H4も)、肩の後ろが痛い(三焦経H5)と、これだけ痛みがありました。10分後すべての肩こりが軽くなって、次の予約もされました。


 原爆被害の白内障、
甲状腺肥大、
首の痛み、肩こり、
足の裏の低温火傷後遺症
腰痛と足の後側の痛み、
眼のかすみ、心臓の疲れ、
(胸苦しさ)
 60才代 女性

 美食家で砂糖、油、小麦、乳製品、肉、卵など多食のため、副交感神経が興奮状態と思われます。H5F5刺絡が終わると、霧が晴れたように眼がハッキリ見える。胸鎖乳突筋が付近の首こり、肩こりもあるのでH6の刺絡をしましたら、肩こり、首の痛み共に良くなりました。首に若干の違和感(甲状腺?)があるので、胃経F6の刺絡をしましたら、すっかり良いそうです。
 腰痛は、前屈をすると膝裏からふくらはぎも引きつったような痛みがあると言われます。膀胱経F4の刺絡で突っ張り感も痛みもなくなりました。息がみぞおちまでしか入ってこないそうです。これは心臓の疲れでH3を刺絡すると、空気がス〜ッと入ってくるようになりました。
 足の裏の低温火傷は、柚子の汁をビニール袋に入れて使い捨てカイロで30分温める健康法で、うかつにも寝てしまい、2時間後に足は火脹れとなり、足の皮が全部剥けてしまったそうです。それ以来2年間、足がジンジン痺れて、板張りを歩くと足がビリビリしてつらいそうです。腎経F3刺絡後立ってもらうと、痺れがない?いきなり治療室の床に降り立ち、歩き始めたとたん、彼女は「痛くない?・・・アンビリーバボウ!」と叫んだのでした。


胃潰瘍と胃炎

 40歳台の男性、肩こり、腰痛、アレルギー疾患など様々あります。みぞおちを押さえると、顕著な圧痛あり、胃潰瘍か胃炎?この方は、昔から胃潰瘍があったということです。
 胃潰瘍、浅見先生曰く「副交感神経の興奮によって潰瘍が形成される、治療には、H5F5の刺絡」もちろん、この患者さんもH5F5で胃の圧痛が楽になりました。


リュウマチ

 リュウマチはH5F5の刺絡でとても良くなります。足首が痛くてゆっくりしか歩けなかったのが、数回の刺絡治療で改善されました。寝返りをうつたびに激痛で目がさめていた首や肩もH5F5とH6H4の刺絡で楽になりました。
 Fさんは来院されて3ヶ月、井穴刺絡、バンキー治療、皮内針、食事療法、アミノ酸エキスやアセロラも飲んで、今日は、操体法を少しやりました。
 10年間ひどくなる一方だったリュウマチが、薬を使わずに段々と軽くなっています。


眼の痛み

 眼が真っ赤、一昨日、枝で左眼を強く突いて、眼球に傷がついてしまって、眼をつぶっても痛い、眼をあけても痛い、眼帯をしても痛い、寝ても痛い、起きても痛い、じっとしてても痛い・・・という方が来られました。「眼は肝臓だからF2F6かな?」井穴刺絡をすると「あー、先生、眼が痛くなくなった」と…!
 4日後に治療においでになって、あれからまったく眼が痛まず治ってしまったと言うのだから、刺絡治療はすばらしい!刺絡を知らなければ、どうやってこの眼に対処しただろう・・・


帯状疱疹

 Aさんは吸玉療法が好きでで最近刺絡にはまって横浜まで浅見先生の講義を聞きにいくほど熱心。栄養士仲間の先生が帯状疱疹になってしまって、ヒリヒリしているのを見かねてH5F5をすすめたところ、痛みが半減したそうです。
 以前、娘に水疱ができて痛がったのをH5F5の刺絡と、バンキーの瀉血で立派に治した経験があったので、この方にも自身を持って刺絡をすすめたのでした。
 当院にはバンキー治療で来られたのですが、「待て待て、バンキーすれば直後に治るのはわかった話、もう一度刺絡をしてどのくらい治るか見てみようではないか」と話がまとまりました。患者は、すでに半分痛みがなくなったものだから、もっと治るのだったら「何でも来い」です。
 H5F5の刺絡が終わって、直後、「痛みは?」とたずねると「無い」の一言、うーん、劇的です。

胃癌

 68才 女性

私がなぜ西区のS先生のところに行くかというのは、この病院にレントゲンの機械の良いのが入っているからなのです。九大の先生も見に来るほどなんです。また、丁寧に写される先生なんです。

 母が亡くなったとき、なんだか体調が悪くって、レントゲンを撮ってもらいました。出来上がった写真を見て、「うちはクリニックだから、福大かH病院に診てもらいたいんだが」といわれました。
 主人がいるので交通の便を考えてH病院にしました。H病院の主治医の先生が見てビックリされたんです。「この写真もすばらしいけど、ここにも機械があるのでもう1度検査させてもらいます」と言われました。そのとき「あなた1人で来たんですか?」とたずねられたので「この歳だから1人で来れますよ」と言いましたら…「はっきり言って、これは癌だね」と言われました。

 その時は、母が亡くなって整理をしたりなんやかんやで無理をして、10kg痩せました。勤めているときにも忙しい時期に健康診断があると胃潰瘍だと診断されていたので「また胃潰瘍をやった」と思っていたんですが、こんなに痩せたことはありませんでした。

 以前に乳癌で手術してましたので「切りたくありません」と言いました。先生は「まあ、調べましょう」といわれ検査が始まりました。

 その前の年に浅見先生の井穴刺絡の話をぎんなんホールで聞いていましたので、ここ(ぎんなん治療院)に来て、「こことここをしなさい(左足のF1、F6、F4)」と教えてもらい治療しました。この頃もまだ痩せ続けてましたが、とにかく生活のリズムを戻し、食事もきちんとしなくちゃという思いでやってました。

 H病院の担当の先生は週に1度しか来られないので、毎週行っていましたが、H病院で週一度撮る写真と、S先生の撮った写真とが、だんだん様子が変わってくる(癌が小さくなっている?)のでお電話でずいぶん相談されたそうです。

 4週間目「胃は4分の1取るよ」と言われまして、必死になって、毎日、朝晩、井穴刺絡治療をしました。だって、切るのはいやですよ。入院待ちになっていたんですが、2月の中旬(6週間目)に行ったときに「波多江さん、あなたの神様すごいね、癌が消えてるよ」と言われたんですよ!

 S先生のところにH病院の担当の先生の書類を持って行ったとき、S先生から「波多江さん、H病院で何回かあなたの治療の会議があったそうだよ、良かったね」と言われました。

 食べ物は普段とおりで、アミノ酸エキス「アマンアルファ」を飲んでました。「あー、井穴刺絡はすごいなっ!」っと思いました。乳癌の先生のところにも行きましたが、「そんなの何万人に一人だよ」と言われたんですが、写真を見て「はーっ」と感心されてました。

 H病院では「3ヶ月したらおいで」と言われたんですが行ってないんです。教会に来ているお医者さんに相談したら、「僕の従兄弟が胃腸内科やってるからそこに行ってごらん」と紹介され、1年半して行きましたら、少し潰瘍はあるけど癌はありませんでした。母が亡くなってから発癌したことを考えると、癌はやっぱりストレス(交感神経の異常緊張)にあると思います。
井穴刺絡療法をやっていて、改善しても良いはずの症状が良くならないとき、以前に行った手術の傷痕の皮内針治療で改善することがありましたので、何かお役に立てばと書きました。

はじめに

「治療の名人は、みな病人」

あなたも自分の身体の治療名人になれる!

 私は、3歳の頃にわずらった、ちょっとした腸炎に薬の大量投与を受け、生死をさまよった経験から、なるべく病院にはかからない、健康な生活をしたいという思いをもっています。

 神奈川へ就職、近くに鍼灸の学校があることを知り入学し、鍼灸の国家資格を取得しました。鍼灸学校の授業で興味をもったのが、「皮内針」と「操体法」で、どちらも、弱い刺激や痛くない動きで治す方法です。私自身も鍼を深いところまで刺されるのがきらいなので「皮内針」を多用しています。今では、鍼の治療のほとんどが皮内針、必要に応じて頭皮針をします。治療室には長い鍼はありますが、必要最小限です。

 治療は、鍼の治療と吸玉療法(バンキー療法)が主軸です。鍼の治療では、浅見鉄男先生の「21世紀の医学」井穴刺絡療法をやっておりますが、治療効果が高く、誰がやっても効果が出せる、たいへん再現性の高い治療法です。

 井穴刺絡療法をやっていると、治療が上手になったのではないかと錯覚するほどです。それだけに、今までは、わけもわからず「治るだろう」「治るはず」と思って、やっていたにすぎなかった!と、気付かされます。井穴刺絡療法で治療効果が、当然の改善の確認として判断できるようになると、今度は、「なぜ良くならないのか?」の疑問が湧いてきます。

 そのとき解決の一つになったのが、虫垂炎や婦人科疾患手術痕、ケガの圧痛点に対する皮内針の治療でした。腰痛の治療では、患者さんの虫垂炎手術痕に皮内針をやって、良い効果を得ておりましたので、身体に残っている傷が、原因の一つになっているのではないかと考えるようになりました。

 結果は、思った以上の効果です。激痛を起こしていた腹痛が一瞬にして消えたり、10年間上がらなかった腕が皮内針一本で突然上がったり、毎日、驚きの連続です。傷痕の皮内針で、第一段階の治療が終わり邪魔者がなくなったところで、患者さん本来の治療個所があらわれますので、井穴刺絡やバンキーなどのが始まります。

 私がここで説明する治療法は、誰でも簡単にできます。わからないときは勉強会もやってますので、どうぞご参加ください。

身体の傷痕がトラブルの元凶

 

 身体の傷痕にある圧痛が、膝の痛み、腰痛、肩コリなどの身体の動きを悪くしている、また、高血圧や胃の痛み、頭痛、腹痛などにも深い関係があることがわかりました。

 「皮内針」を習ってから、私の治療のテーマで、赤羽幸兵衛著「皮内鍼法」や高岡松雄著「痛みのハリ治療」、浅見鉄男先生の「21世紀の医学」にすでに治療法が解説されているものを追試、拡大解釈し、治療に応用して高い治療効果を得ることができたので、多くの方に知っていただきたく、この冊子を作ろうと思いました。

 治療法は、皮内針法に準じますが、特徴は、「誰にでも簡単にできる」「直後に改善効果が判断できる」「その症状と傷痕の関連性を鑑別診断ができる」などにあります。

 この冊子は、患者さんやその家族、治療に興味がある一般の方を対象に作っています。そのため、専門知識がなくても理解できるように書いてますが、専門の先生方にとっては、物足りないものになってしまったかもしれません。また、難しい理論は、今までの皮内針法や井穴刺絡学におまかせするとして、ここでは、専ら臨床例や実技指導を説明いたします。

 

傷痕の種類

 

 傷痕には分けると二種類になると思います。一つは、手術痕、もう一つは、ケガの傷痕です。もちろん、深い傷ほど重大な癒着などの後遺症を残す可能性があると思われますが、浅くても、長い間、薄くても残っているというのは、身体にアンバランスを引き起こし、経絡に対しても悪影響を及ぼしていることが考えられます。

 

 

傷の癒着

 浅見先生は「21世紀の医学」のなかで、虫垂炎手術痕の癒着性の腹痛を解説していらっしゃいます。傷痕の圧痛を調べてのことですが、手術痕には、そのどちらかの方向に癒着らしき「塊」が触れ、強烈な圧痛が存在することが少なくありません。

 手術痕の圧痛がある場合、その癒着が原因であろうと考える根拠は、若い間はあまりトラブルが発生しない、また、手術後しばらくは傷痕に由来すると思われる症状が出ないことにあります。虫垂炎を例に取ると、腹筋などが強い、若い間は大丈夫なんですが、中高年になって、だんだんと下腹部が前下方に出てくるに従い、傷痕に関連ある症状が出てきているようです。

 親子で来院され、どちらにも虫垂炎の手術痕があったので圧痛を確認したのですが、30歳の娘さんには圧痛がなく、60歳のお母さんには圧痛がありました。30歳の娘さんの傷痕が平らなのに、60歳のお母さんの傷は“ヒキツレ”がひどかったのです。

 これは、手術の癒着が、下腹部の前下方へ下がったことにより引っ張られたためではないかと思われます。婦人科の手術をすると、晩年、体調が悪くなると言われますが、一つは、ホルモンバランスが崩れるためと思われます。しかし、もっと大きな問題は、手術痕の癒着にあると思います。

 

 

「あなたの傷痕は?」

 この項で述べてきましたように、傷痕に残る「圧痛」を治療することによる改善は素晴らしいものがあります。ここでは、あなたにもある傷痕の種類を列記してみたいと思います。心当たりがある方は、ご自分で、家族で、圧痛がないか調べてみてください。

 

 

  @虫垂炎手術痕

 右の下腹部。40年、50年前の傷痕のほうが圧痛が強く、たくさんの圧痛点があります。最近の手術痕のほうが圧痛が少ないようです。55年前の手術痕で、なかなか虫垂が見つからなかったのか十字に切った傷痕がありました。これは圧痛がひどかったです。海外で切られた虫垂炎の手術痕では、真横に切ったものがありました。日本ではほとんどが斜めに切られてます。

 

 

  A婦人科の手術痕

 子宮筋腫や子宮癌などの手術で、おへその下から恥骨まで縦に切った傷痕があります。傷痕の左右に圧痛が点在しますが、ほぼ全員にある圧痛は、傷痕が恥骨と接するあたりです。圧痛は、どの臓器や組織を取ったかによっても位置が違うようです。

 

 

  B胃の手術痕

 胃潰瘍や胃癌などみぞおちからお臍まで切った手術痕があります。みぞおちあたりに圧痛があるのと、お臍の周囲の傷痕にも強い圧痛があることが多いようです。

 

 

  C胆石

 胆石で切った傷痕は右のお腹にあり、これも圧痛があります。最近では、腹腔鏡による治療が行われるため、お腹にあけた穴の1円玉(約直径1.5cm)ほどの傷痕があります。この小さな傷痕とその周囲には、思ってもみないほどの激痛の圧痛があることが多いようです。

 

  D椎間板ヘルニアなどの腰部手術痕

 ヘルニアの手術をして、腰の痛みは少なくなったけど、数年すると、少し違う腰痛が出ることがあります。その多くは、手術のときの傷痕に圧痛があるためであることが多く、その圧痛と横も調べると圧痛点が存在します。

 

 

  E頚椎手術と骨盤前側の痛み

 頚椎の手術をしていれば、首の圧痛点を調べます。今まで、この首に圧痛があったことは、なぜだか一度もありません。ところが、この首に骨を移植するための骨を取った腸骨=上前腸骨棘あたりの傷痕に圧痛を探すと、激痛がある圧痛が見つかります。

 

 

  F脂肪腫の手術痕

 首や背中にできる脂肪腫を手術して取り除いたあとに、けっこう大きな傷痕が残ります。

 

 

  G脳腫瘍やくも膜下出血の手術痕

 頭の手術をされた傷痕は、実に強い圧痛が存在します。もちろん、この痛みが身体の不調のきっかけになっていることは多いのです。

 

 

  HBCGの予防接種痕

 最近の予防接種の傷痕は小さいものですが、以前のは500円玉くらいの傷痕が残っているものもあります。どうしてもとれない首のコリ、肩コリが、BCGの痕に皮内針をやったとたん取れたことがあります。こうなると、「私には傷痕がありません」と言える人はなくなってきます。

 

 

  I未確認の傷痕

 まだ治療したことがない傷痕もいろいろとあります。例えば、腰の褥瘡の跡、痔の手術の痕、お灸の痕など。やったことがないのは、足の裏や脇の下、口の中などです。

 

 

ケガの傷痕

 

 ケガをしたことない人はいないと思います。ところが、その傷痕が残ったり、まったくなくなってしまう場合があります。また、傷痕が残ったとしても、そこに圧痛があるとないのでは、その周囲の身体の動きに大きな影響を与えていることが考えられます。

 傷痕は、深い浅い、大きさ、化膿した、痛みが長く続いたなどの違いはありますが、ここでは、傷痕が残っているか?その傷や周囲に圧痛があるか?を確認して治療したいと思います。

 傷痕は、見ればわかることですが、なかなか意識していないのが現状で、患者さんから教えてもらうのが半分、私が見つけるのが半分です。頭の傷など普段見えないものについては、特に幼少期のケガでは、母親に聞きます。

 

 

  @スポーツの傷痕

 スポーツは傷痕を作るためにやってるようなものです。

70歳台の男性、膝の痛み、和式トイレに座れない。50年前のラグビー選手の頃、相手の選手からスパイクで踏まれたスネの傷痕がありました。左右の足で10箇所ありましたが、その一つに激痛があります。これに皮内針をすると膝が曲がりました。

サッカーや相撲、スキーなどあらゆるスポーツにケガはつき物です。外に表れない、強い捻挫なども組織の修復が完全でない場合、過去の傷に圧痛が残った状態にあると思います。その関節の圧痛を調べて治療してみてください。

 

 

  A交通事故

 車の事故だけではありません、電車や自転車で転んだケガでも、交通事故のケガは大きく複雑で、その後、圧痛が残ることが多いようです。人為的に行う手術とはわけが違います、それだけ複雑に障害を残すと思われます。あまりにたくさんの傷がある場合には、井穴刺絡療法やバンキー療法などと併用されることをおすすめします。

 

 

  Bペットの引っ掻き傷痕

 かわいい猫ちゃんやワンちゃんが、何かの拍子で、ガリッ、パクッと引っ掻いたり噛んだりすることがあります。特に、猫の場合、その爪は引っかくためにあるので傷が残りやすいようです。しかも、小さな引っかき傷でも残ります。また、噛み傷でも、猫の歯は鋭く、犬よりも深いようです。子猫といって侮れません。

 

 

  C鎌の傷痕

 鎌に限らず、あまり切れない刃物で切った傷痕は残ります。逆に、ガラスやよく切れる剃刀や包丁で切っても、傷がピッタリくっついて、キレイに治ることが多いようです。

 

 

  D火傷の傷痕

火傷の痛みに皮内針をすると鎮痛します。私も子どもの頃まで左足に大きな火傷の痕がありました。今は見えませんが、その関係か?胆経風市あたりがよく冷えます。火傷の痕が残っている場合は圧痛を調べてください。

 

 

  E鉄砲の玉の傷痕

 最近はあまり聞かなくなりましたが、戦争に行って鉄砲玉がかすめた傷痕を持った人がかなりいらっしゃいました。

 

 

  F打撲(傷はない)

 強く打撲したために、例えば骨の変形がそのままあり、その部分に圧痛があるといろんな障害をまねきます。鼻をぶつけて曲がってしまい、骨が少し陥没しています。そこに強い圧痛があり、ここに皮内針をしばらく刺しておくと左の肩コリが改善しました。

 

 

  G骨折(傷はない)

 骨折の患部の痛みの緩和に皮内針は良く使われますが、骨がつながった後も痛い(押さえて痛い圧痛)場合、そして腰痛や肩コリがあるときには、昔やった骨折をもう一度押さえて痛みが残っていないかチェックします。

 

 

 

関節の動きを調べる

 

 治療の段取りとして、まず、関節などの動き(可動域の制限がないか)、痛みがないか(動きにともなう痛み、何もしなくても痛い)を調べます。次に傷痕の圧痛を調べ、その圧痛に皮内針、井穴刺絡療法、バンキー治療などの治療を行います。その後、最初に調べた動きや痛みの改善があったか確認をします。改善があれば、その傷痕に対する治療でよくなったことが類推されます。変わらなければ、その傷痕との関連はなく、その動きや痛みに対する治療を行うことになります。

 

●関節の動き、運動器疾患・・・

 関節は、曲げる(伸ばす)によって動きや痛みが確認できます。再度の確認が必要ですので、中途半端な曲げ方、再現できない曲げ方では、正確な判断ができなくなります。曲がる方向は、「前後左右と回転」がほとんどです。

 

 首のチェック   @左右横曲げ A左右横振返り B左右斜め下を見る

         C前曲げ D上を見るように

 

 腰のチェック    @左右横曲げ A前後曲げ B左右回転

 

 肩のチェック    @腕を上げる A後ろに回す(帯を結ぶ)  

        B腕を横に広げる C手の平を反対の肩に乗せる

 

 肘のチェック    @肘を曲げる A伸ばす B内に回す C外に回す

 

 手首のチェック   @小指側にひねる A親指側にひねる 

                  B手の平側に曲げる C手の甲側に曲げる

 

 股関節チェック   腰の動きと連動「あぐらをかく」

 

 膝のチェック     @膝を曲げる A伸ばす B階段の昇り降り

 

 足首のチェック @甲側屈曲 A裏側屈曲 B内ひねる C外ひねる

 

 

圧痛点の調べ方

 「皮内針法」に準じます。「皮内鍼法」「痛みのハリ治療」医道の日本社

 

圧痛を調べるための棒(先が丸まった棒 丸い竹箸の頭 鉛筆キャップの先 ホットドックの棒など)と、油性マジックをご用意ください。

 

@痛みが出る姿勢で調べます。手術痕の圧痛を調べる場合には、患者さんに無理がない限り立位で調べます。壁に、かかと、背をつけ、力を抜いてもらって圧痛を調べます。

 

A竹のお箸の頭、鉛筆のキャップなど、先端の直径3〜5mmの円錐型のもので押さえます。軽く、同じ力で、押さえたら5秒くらい圧しつづけます。患者さんが強く痛みをうったえるようでしたら、力を弱めます。少しでも「痛い」「嫌な感じがする」という所は、マジックで印をつけます。2回目は、印をつけた所を再度圧して、痛みがある所を再度印をつけ、痛みがなくなった所は消します。

 

B何度圧しても痛い所、痛みがある所で最も痛みが強い所に皮内針(セイリンジュニアなど)をします。

 

C再度、@でやった、痛みが出る姿勢になってもらい、改善があったかどうか調べます。改善があれば、その手術痕、傷痕が関係ある・責任があったということになります。改善がない場合は、手術痕、傷痕との関係がないことになります。

 

■効果があった皮内針の治療も、点の治療です。バンソウコウを貼る、または、セイリンジュニアのバンソウコウの大きさを考えると、二つの圧痛・治療点があれば、その間が1cmくらい空いてしまいます。そこにも痛みが存在することが多く、その痛みに対して「経絡」(帯状)に鎮痛させるのが、井穴刺絡療法であり、その圧痛がどこの経絡に所属しているか確認して、井穴刺絡治療いたします。

例、虫垂炎の場合、圧痛が、脾経F1胃経F6腎経F3の経絡上に存在することが多い。

 

 

 

手術痕・傷痕に対する皮内針、井穴刺絡療法の臨床例

 

 手術痕や傷痕にある圧痛点に皮内針をする、または、どの経絡上の手術痕の圧痛か傷痕にある圧痛であるかを調べて、その経絡の井穴刺絡を行うことによって症状を改善させます。

 症状がそれで全部改善してしまえば、100%その手術痕や傷痕にある圧痛に責任があったということになりますが、その後に調べると、今までとは違った症状(痛みやシビレなど)があることがわかります。これは、手術痕や傷痕には責任がない症状であり、今度は、この症状に対して井穴刺絡療法やバンキー療法、皮内針や鍼などで治療することになります。

 最初に、手術痕や傷痕にある圧痛点に対して治療を行っていなければ、どんな治療をしても患者さんは満足が行かない・・・症状が残っている、改善度が低いと評価されることになり、治療家も、その“まさかの圧痛”に振り回されることになります。

 痛いといわれるところに圧痛が存在しない?治療するとしばらくは良いけど、また、すぐにぶり返す?いろんな所をまわって来たけどなかなか治らない?こんな患者さん、家族、お友達がいたら、「どこか手術したことない?ケガの痕ない?」と、たずねてみてください。

 

■手術痕は記憶にあるものの、ケガの傷痕は、治療者が見つけるほうがほとんどです。患者さんは、すっかり忘れてしまってます。浅いものでも、傷痕があれば、長い間影響しているのだと判断してください。

 

 

@10年間、腕があがらない

50歳、女性、虫垂炎手術

 10年間、肩より上に腕があがらない。前方も側方も肩の高さまでくるとブレーキがかかったように腕が止まってしまいます。毎年転勤があるそうで、全国各地の10箇所以上のの総合病院、整形外科、様々な治療院をまわったそうです。

 帯を結ぶように後ろに手はまわります。反対の肩に手は届きます。普通の五十肩ではないので、身体の傷を探すと、40年前の虫垂炎手術痕がありました。圧痛点を探し、皮内針を1本刺した後、腕を上げてもらうと、痛みもなくあがるようになりました。

 

 

A膝が曲がらない

80歳、男性、若い頃ラグビー選手

 娘さんは自分の足の指の骨折を井穴刺絡やバンキー治療で治しました。ですが、お父さんに井穴刺絡やバンキーの治療をやったのに、なかなか膝が曲がらず困って来院されました。お父さんは、和式のトイレに座れずに困ってます。

 手術痕はなく、60年前のラグビーの試合中に受けた傷痕が、スネに10ヶ所あります。その中で1ヶ所、激痛の傷痕があります。その傷痕に皮内針をしましたら、その直後、膝が曲がるようになりました。娘さんは大喜び、お父さんは、ただ、ただ、ビックリ!「なんで曲がるようになったんだ?」

 

 

B前屈困難

50歳、女性、帝王切開手術痕

 体調が思わしくなく、いろいろ病院をまわったあげく、心療内科を紹介され、うつといわれて薬を飲み始めたところです。聞いたところ、副交感神経が働き過ぎている症状が出ているだけで、H5F5(手足の薬指)の井穴刺絡をすると身体が軽く、温かくなった、気分も楽になったようで表情が明るくなりました。

 お臍の下に帝王切開の傷があります。前屈で指が床から10cm離れています。傷痕の圧痛を調べると、傷痕に5ヶ所、その左右に20ヶ所圧痛があります。それらを数回調べ、圧痛があることを確認して25箇所に皮内針をしましたところ前屈が20cm改善。その間ストレッチなどの運動はしていません。

 

 

C冷たい石を出産

40歳、女性、子宮筋腫の手術痕

 お腹の冷え、肩こり、腰痛、不正出血などいくつもの体調不良がある方です。お臍の下に恥骨までの手術痕があるので、圧痛を調べると数箇所の圧痛があり皮内針と百会の刺絡をすると「前回の治療後から、冷たい石を出産したみたい、お腹が温かくなりました」といわれました。

D肩コリの責任は猫

50歳、女性

 肩コリや首のコリは井穴刺絡でずいぶんと楽になりましたが、最後のコリが取れません。身体の傷痕を聞くと、飼い猫に引っかかれたり、噛まれたりの傷が数箇所あります。経絡テストで関係ありそうな傷の圧痛を調べると、腕に小さな傷ですけど激痛があるのが見つかりました。そこに皮内針をすると、首の痛みが瞬時に取れてしまいました。偶然とは思えない効果です。

 

 

E犯人は、BCG?

60歳、女性、手術痕なし

 肩コリがなかなか取れません。治療をすると、しばらくは良いのですが、数日でコリが戻ってきます。いろんな原因があると思いますが、その中でも傷痕にある圧痛は大きなウエイトを締めています。ところが、この患者さんには傷らしいのが見当たらないのです。しかし、よく見ると、BCGの痕が500円硬貨くらいあります。この中に圧痛点を求めると、一箇所見つかり、そこに皮内針をすると、肩コリが取れてしまいました。BCGの痕は、三焦経や大腸経など、肩こりと関係ある経絡上に残っていますので、偶然とも考えられますが、今までのことを考えるとそうとも言い切れません。

 

 

F腰痛

80歳、女性、椎間板ヘルニア手術痕

 洗面する程度の前屈、台所仕事、掃除機をかける・・・少し腰を曲げた姿勢が続くと、腰痛が出ます。椎間板ヘルニアの手術で、腰椎の1番から尾骨まで傷痕があります。腰椎あたりの傷痕にも数箇所圧痛がありますが、激痛があるのが尾骨あたりにある傷痕です。百会の刺絡と皮内針をすると、台所仕事をしていて、腰痛を忘れているそうです。ただし、一月に一度くらい治療をしないと、なかなかこの痛みは取れません。

 

 

G腰痛

80歳、女性、子宮筋腫手術痕

 お臍から恥骨まで下腹部に手術痕があります。腰痛が出ると、ここに皮内針をするとすぐに楽になります。

 

 

H虫垂炎手術痕の圧痛と腰痛

 この例は、あまりに多すぎるのでよくある治療例を紹介します。

腰痛がある場合、それが、何度も繰り返しておこすギックリ腰、長期に及ぶ腰痛などでは、必ず身体の傷痕を調べますが、その中でも高確率に責任を負っているのが虫垂炎の手術痕です。

   a.治療前の痛みの確認⇒前屈、後屈、側屈、回転いずれの、

  どの角度で痛みが出るかをチェックしておきます。

  b.虫垂炎手術痕に圧痛がないか調べ、圧痛点に皮内針を刺します。

 

  c.再度、治療前の「痛みが出る姿勢」になってもらい、改善があったか?

  ないか?確認します。

虫垂炎手術痕の圧痛点の皮内針だけで、腰痛がすべて改善してしまえば、それで治療終了です。ところが、まだ痛みが残っていることもあります。

 そこで、再度、「前屈、後屈、側屈、回転」の動きで痛みが出ないか確認し、この時点で痛みがあるのが、虫垂炎手術痕には責任がない腰痛ということになります。

 そこで、腰痛の治療、百会、前屈で痛みがあればF4や百会、後屈で痛みがあればF4や、F1、F6、側屈で痛みがあれば痛い側のF5、回転で痛みがあれば、F2、F5を井穴刺絡することになります。もちろん、痛いところにバンキー治療、皮内針や鍼治療を行ってもよいと思います。

 

「農山村で多い虫垂炎手術?」

 農業や漁業では、ケガをすることが多く、ケガの治療・手術をしたことある人の割合は、都市部より多いように思います。詳しくデーターをとったわけではありませんが、私が調べた限り、農山村の虫垂炎手術の割合は、都市部より10%以上多いようです。

 

 

I頚椎手術と腰痛

50才、女性、頚椎手術痕と、それにともなう腸骨前面傷痕

 近年、患者さんの中に頚椎を手術され、首に傷痕がある方が来られます。その中に、肩コリだけでなく、腰痛の方がいて、手術した病院でもずいぶんと痛みを訴えられたそうですが、「首は手術したが、腰はやっていない」と、相手にしてもらえなかったそうです。しかし、手術前は腰痛はまったくなかったのに、手術直後から痛みが出たのですから、手術との関係を疑いたくなるのは患者さんの正直な気持ちだと思います。

 私も、首の手術をしてのだから肩コリは考えられますが、腰痛となると?しかし、その答えは、首に移植した骨をとった手術にあったのです。この骨は、腰の前(上前腸骨棘)あたりからとるため、5cmくらいの傷痕ができます。腰の前で、ベルトが引っかかる腰の骨です。皮下に骨(腸骨)が直ぐに触れ、傷痕に圧痛を調べると、とんでもない激痛が存在しました。これに皮内針をして、腰を動かしてもらうと、一本の針で腰痛がまったくなくなってしまいました。

 この患者さんは、手術直後に腰痛が始まったので、因果関係があると判断できたのですが、10年も経って腰痛を訴えられたとき、患者さん自身が、腰の傷痕のことを思い出されるか???

 

 

J首のコリとくも膜下出血手術痕

60歳、女性

首コリ肩コリがどうしても取れない患者さん、たずねても身体に手術痕は思いつかないといわれてたのが・・・ハッとされて「10年前にくも膜下出血の手術で頭に傷があります」とのことです。見ると、10cmの傷と穴をあけたための凹みがあります。途中の傷の圧痛は1回で取れましたが、穴の中心に強い圧痛があり、なかなか取れません。頭の傷がどのように影響しているかは、今後の課題ですが、治療前の症状が改善すれば、因果関係があると考えてよいと思います。

 

 

K虫垂炎手術痕とリュウマチの痛み

50才、女性、リュウマチ、虫垂炎手術痕

 この患者さんは、研修会「養生会」でのモデルになっていただいたリュウマチで手首(小指側)が痛い方でした。

 「虫垂炎の手術をしたことある方いますか?」と募ったので、リュウマチの治療をしようと思ったわけではありません。痛みや動きの悪い関節はないかと探したところ、リュウマチであり小指側の関節が痛いとのことでした。手首を小指側に曲げると痛みます。

 虫垂炎の手術痕に圧痛点を探し、一ヶ所に皮内針をしました。その直後に手首を小指側に曲げてもらったところ、痛みがほぼなくなっていました。

 患者さんの関節は変形はなく、若干腫れている程度だったので、骨の変形があるにしても軽度なものだったのかもしれませんが、リュウマチの痛みがどこに出るか?を考えたとき、その方の弱い関節に出るのだなと思いました。

 リュウマチの治療では、副交感神経の異常興奮を抑制するためにH5F5(手足の薬指)の井穴刺絡が基本です。それに、薬を飲んでいる期間が長ければ、そのための交感神経の異常興奮がどこかの臓器に出ていないか、出ていればその神経の抑制の治療をすることが必要となります。

 痛んでいる関節に対しては、鎮痛のための刺絡治療、バンキー治療、針治療などを行うことと、なぜその関節が痛んだのかを考え、どこかの傷痕がその痛みを助長させていないかを探す努力が必要であると感じました。今回は、虫垂炎の手術痕がその助長をさせることとなったようです。

 

 

L頭の傷と首のコリ

50才、男性

子どもの頃のケガで後頭部に横5cmの傷痕があり、2mmの幅で髪も生えていません。胆経を横に切るように傷痕があります。傷痕はどこを押しても圧痛があります。しかたがないので、1cm間隔で5本、皮内針をして、首や肩の動き具合を確認してもらいましたら、ずいぶんと改善しました。

 髪があるので針はしばらくして外しましたが、治療効果はそれでも数日間はあるようです。

■頭の傷と圧痛

いろいろ治療してて、なんだかわからなくなったとき、患者さんの頭をどことはなく指圧することがあります。痛いといわれる所で患者さんの症状が少しでも軽くなるようであれば、関連ありとして鍼や刺絡をすることがあります。そんなところを見ると、だいたい髪が抜けています。

 その症状や病気の関連するツボが頭にあって、交感神経の異常興奮によって脱毛しているのか?ケガの傷痕があって最初から髪がないのか?どちらにせよ頭は、毛がないところを治療点にするのも一つの方法だと思います。

 

 

M足が重たい、お腹に差し込むような痛み

70歳、女性、胃癌手術

 階段をのぼるのに、足が重たくてつらい。お腹の中を突き上げるように痛みがある。これらの症状が、胃癌の手術をして後からあるそうです。病院で訴えても、まったく相手にされません。胃癌の手術とは関係無いと言われるばかりで治療はありません。

 まずは、階段を上ってもらいます。10段くらい上って、降りてもらうと、やはり足が重たいそうです。話をしながら、3回くらい上り下りをやってもらいました。何度やっても足は重たいそうです。

 胃癌の手術痕に10ヶ所の圧痛点があります。それらに皮内針をやって、再度階段を上ってもらうと・・・「あら、足が軽いわ!」次に来院されたとき「お腹の針をやってもらってから、突き上げるような痛みがなくなりました」と、大喜びです。

 それから何度かお腹の針をしましたが、治療すると2ヶ月くらいは痛みがなくなり、その間隔も遠くなっています。

 

 

N静脈瘤の手術痕

 65才、女性、腰痛

 これは別に傷痕があるわけではないのですが、静脈瘤がひどくなったので、血管を取る手術を受けたそうです。その血管の痕に圧痛があり、そこに皮内針をすると腰痛が改善しました。血管をしなやかに丈夫にするには、充分なビタミンC「アセロラ」アミノ酸エキス(血管の材料)を飲んでもらい、静脈瘤がどの経絡にあるか確認してその井穴を刺絡します。また、交感神経の異常興奮があることが多く、H6F4を中心に井穴刺絡します

 

 

O大腿骨骨折の手術痕

 50才、女性、足の痛みと腰痛

 大腿骨を骨折し、ボルトで固定しています。骨折の患部が常に痛み、腰痛もあります。手術痕が20cmほどあり、初回に手術痕を中心に30ヶ所ほどの圧痛があり、すべてに皮内針をしましたら、次回は15ヶ所に減りました。

 残ったのは、ボルトの直上であろうと思われる大腿部の膝よりの所とその後側です。傷痕の圧痛は2ヶ所で、その後側に10ヶ所以上の圧痛があります。異物=ボルトのための圧痛?かと思われます。ボルトが入っている限り、この圧痛は消えないのかな?と思います。

 

 

P大腿骨骨折とスネの骨折手術痕

 80才、男性、脚が痛い、腰痛

 脚がどうにも痛くてつらい。腰痛もひどく、腰の変形もあります。大腿骨の骨折があり、手術をされてますので、圧痛を確認して3ヶ所に皮内針をしました。スネ(脛骨)にも骨折の手術痕、足首に近いところに10ヶ所圧痛があり皮内針をしました。

 2回治療した頃から、脚の痛みとシビレがなくなったそうです。腰痛も、少し改善しましたが、まだ痛みがあり、週に一度バンキー治療や鍼をやっています。この患者さんは、治療の反応が良く、足の親指が痛いとき、F1に刺絡をすると「あー、楽になった」と、治療直後に喜ばれます。バンキーの全身治療後もスッキリした顔で、来院されたときと別人のようになります。

 

 

Qおできの切開傷痕

50才、女性、左のガンコな肩コリ

 いろんな症状がある女性ですが、井穴刺絡や週に一度のバンキーでほとんど健康な状態にあるのですが、唯一、左の首、肩のコリがなかなか取れませんです。見てみると、耳たぶの付け根(乳様突起・完骨)に傷痕があります。子どもの頃におできが膿んで切開した痕だそうです。

 この手術痕を調べると1ヶ所に強い圧痛があります。そこに皮内針をすると肩コリがとても楽になります。ところが、皮内針がはずれてしまうと、首、肩コリが再燃します。コリが強くなったときには、患者さんの自己申告で皮内針をするようにしていますが、なかなかこの1ヶ所の圧痛がなくなりません。見た目以上に深い傷痕なのかもしれません。

 

 

R不眠症

 婦人科、脾臓、胆のう、胃の手術をされ、みぞおちに「人」の字に手術痕、おへそから下に縦の手術痕があります。長年お付き合いのある患者さんで、お酢アミノ酸エキスなど飲んで頂いていたのですが、10年くらいご無沙汰している間に「不眠症」となってしまわれたそうです。手術も上記のように婦人科以降は、ここ10年の間の手術です。お薬はほとんど効かず、毎日つらい夜を過ごしていらっしゃいます。

 まず身体を動かしてもらうと、あちらこちら痛いとこばかりです。お腹の手術痕は「人」の字の左側に圧痛、下腹部に圧痛があり皮内針をすると少し楽になりました。

 次は、肝臓=右F2F6、胃=左F1F6、心臓=H3をすると、お腹がグーっとなり「お腹が減ってきました」。仕上げにH6F4をやっている頃には、「先生、眠たくなってきました・・・」と、表情も柔らかくなってホッとした感じです。

 帰られてからは、毎日、井穴刺絡、お灸、アミノ酸エキスを摂られてます。毎日夜がくるのが楽しみ、心地よい眠りがおとずれるそうです。たまに、晩ご飯が終わって、つい、うとうとして2時間ほど寝てしまうと(今まではこんなことはなかった)もう眠れないのではないかと思ったら、朝まで気持ちよく熟睡できたそうです。

 この患者さんは、手術痕の圧痛と内臓の不調がいっしょになって眠れなくなってしまった例です。

 

 

 

これが鍵「傷やケガ、手術痕を小さくする方法は」

 

 ケガや手術の治り方は様々です。小さなケガのはずが、数十年も残ってしまうことがあります。手術法やケガの程度もありますが、それにしても個人差が大きいのが傷痕です。しかし、これが数年後、人生に大きな負担をかけるとすれば重要な問題です。また、体の中に残った癒着やヒキツレは見えないだけに、想像すらできない問題を抱えているのかもしれません。

 

@血液がカギを握る

 傷や手術痕を治すのは自身の細胞、栄養を運んでいる血液!傷を縫っても薬をつけても細胞がくっつきやすく、ばい菌が入らないようにしているだけで、傷をくっつけているのは“患者さん自身の力”ということです。

 人の身体はタンパク質(アミノ酸)でできていますので血液や細胞に必要なアミノ酸がなければ傷を修理できません。健康医学社が昭和大学の中山先生に傷の修復に関する実験をお願いしたところ、10倍に薄めた「アミノ酸エキス」が傷を最もはやく治しました。これにより、アミノ酸エキスは飲んで血液に栄養を供給して傷の治りを早くするだけでなく、傷に直接塗っても良い、結果的には胃潰瘍などの内臓の傷にも良い結果がでました。

 

AビタミンCの同時飲用

 ビタミンCはコラーゲンを作る材料になるのは知られています。美しい肌を獲得するために、ビタミンCは必須アイテム!近年、そのビタミンCは天然のもの「アセロラのビタミンC」などが良いことがわかってきました。

 ビタミンCが関与するコラーゲンは、細胞と細胞をつなぐ接着剤の役目をするため傷の治りにも重要な役目を果たします。

 

B自律神経のアンバランスは傷を大きくする

 交感神経が異常興奮しても、副交感神経が異常興奮しても、傷の治りが悪くなることが言われています。特に、手術をする場合、交感神経の異常興奮が傷口を化膿させたり、傷口にヒキツレを作ったりすることが考えられます。交感神経を抑制するためには、ストレスを少なくすることが重要で「アミノ酸エキス」「アセロラエキス」はストレスを減らし、交感神経を抑制させます。

 

 

 

傷痕に圧痛があると体調不良!?

その解決策はいかに?

 

 虫垂炎の手術痕、胃や肝臓、胆のうなどの手術痕がある場合は勿論、婦人科の手術痕でも便秘、高血圧など様々な自律神経の乱れ、神経の異常な興奮がみられることがあります。このような障害では、いくら胃腸や心臓の治療をやっても効果が上がるはずがありません。

 胃腸などお腹の治療にバンキー治療やアミノ酸エキス「RVE21」、アセロラ「アセロラVC」「アセロラエキス」などを使って効果をあげてきました。が、「治療効果が上がらないな?」と思った患者さん、手術痕のチェックを忘れた例がいくつもあります。もちろん、軌道修正後は症状がすぐに改善します。「なかなか良くならないな?」と思っている方は、傷痕をチェックしてください。

 

癒着がどこに影響しているか?

 手術やケガで深い傷を追ったときには、当然、傷痕はヒキツレます。それは、皮膚上だけではなく、皮下組織、筋肉までヒキツレ、最後はその近くの内臓に影響を及ぼしていると思われます。

 このため、手術が子宮や卵巣の近くであれば、婦人科が弱くなり、また、手術が胃腸の近くであれば、影響を受けて便秘や下痢、栄養障害などが起こると思います。

 手術の癒着やそのまわりの神経を切っていることで 交感神経が異常興奮(胃腸や肝臓の働きが悪くなるなど)して栄養吸収がうまくいかなくなることが考えられます。交感神経の異常興奮を抑え、栄養の吸収を良くするために玄米や麦の植物性のタンパク質を麹の力で分解した「アミノ酸エキス」や天然の果実が抽出されたビタミンCの王様といわれる「アセロラエキス」の飲用をおすすめします。

 2000年の歴史をもつ吸玉療法。交感神経の異常興奮、副交感神経の異常興奮、どちらも結果的に血流障害となります。
これを強力に解消する物理療法が、吸玉療法・バンキー療法です。
 2000年の間に、悪い副作用がないこと、治療効果があること、誰にでも簡単にできて特別な道具が必要ないこと、安価であることなどが証明された治療法です。
 誰にでも安心して治療できます。ここでは、簡単に治療法をお話しいたします。

 この解説「吸玉療法・バンキー療法」と前述の「傷痕に対する皮内針」は、「ビデオの解説冊子」として作りましたので、最初から文章で説明しにくいところは映像でお見せしようと細かく説明していません。説明不足のところもありますが、ビデオと一対とお考えください。

はじめに

 

 2000年以上の歴史を持つ治療法、しかも、現在でも世界中で行われている治療法はいくつあるでしょう?鍼、灸、薬草、それに、吸玉療法(バンキー療法)です。

 吸玉療法は、健康医学社が「バンキー」という治療器具を開発し、真空ポンプを使って吸引し、今までにはなかった治療効果を出せる画期的な吸玉療法に発展させました。

 戦後から現代までの治療法が行き詰まり模索する中で、治療効果が確かにあり、悪い副作用がなく、治療法が簡単、しかも、治療にかかる費用が少ない、誰にでもできる治療法が見直されています。

 この条件にピッタリマッチするのが、世界中の医学インドアーユルヴェーダ、中国医学、ギリシャ医学・ユナニ医学、チベット医学、いずれの医学にも採用されているのが「吸玉療法・バンキー療法」なのです。

 

■吸玉療法が普及しない問題点?

 では、なぜこんなに条件がそろって理想的な治療法が発展普及しないか?これには、日本の医療体制に問題があります。また、鍼灸などの医業においてもなかなか受け入れにくいところもあり、なかなかこの恩恵が日本中に広がらない現状があります。

 

●保険がきかない・・・バンキー治療器は厚生労働省が認可した医療器械であ

                るのに、病院で行っても保険の対象とはなりません。

●皮膚に色がつく・・・赤い丸い色がつきます。この色によって血流障害の程

                度などがわかります。

●時間がかかる・・・ 病院や治療院では、時間とお金です。昔のように、治

                るんだったら少々の時間がかかっても治療者も患者も

                じっくり治療に取り組む、そんな余裕がなくなってき

                ました。

                治療とは、今も昔も時間がかかるものです。人の身体

                は2000年前とそんなに変わっていません。

●短時間で治る・・・吸玉療法や刺絡療法を行うと、すぐに良くなってしま

                うことがあります。これでは、お金になりません。

 

 

病気は「血流障害」が鍵になる

 

どんな病気でも、というのは言い過ぎかもしれませんが、ケガや捻挫などにおいても、体液(血液)の流れが悪くなったところに病気の発生、症状の悪化が見られます。

 昔から、東洋医学では、気血の流れという言い方をしていました。

 川の流れもサラサラ流れていれば良いが、淀みができればヘドロが溜まりボウフラがわくの例えです。

 今や現代医学、科学の眼でも、血流障害が重要な問題として語られるようになりました。健康雑誌やテレビでも「血液サラサラ」がうたい文句の番組が大流行です。

 健康医学では、すでに30年前から「どうすれば血液を全身にめぐらせ、滞りをなくし、病気を治せるか?」に取り組み、解決策にバンキー治療やお酢等の発酵食品やアセロラビタミンCのエキス化に取り組んできました。 そして物理療法では、伝統医学を行うどの国でも採用されている「吸玉療法・バンキー療法」こそ、血液をサラサラに全身をめぐらせ、滞っている血液を・・・まるで“下水溝の掃除”をするようにキレイに流すことができる治療器であるとして研究開発しています。

 今やっていらっしゃる治療でなかなか効果が上がらない患者さんは、少し方向を変えて自分の身体を見てください。どこかに血流障害があるのです。その血流障害を改善すれば、結果的には、症状の改善、病気の治癒へとつながるのです。

           

              @身体に冷たいところがある

              A部分的に肌荒れしているところがある

              B汗をかかないところがある

              Cシビレや痛みと手足の冷えがある

              D婦人科に弱いところがある

              E浮腫み(むくみ)がある

 

 

局所治療と全身治療

 

@局所治療とは、困ったところ、症状があるところに吸着具を吸い付けて、血流障害を改善させようとする治療法です。

 

【運動器疾患】外科・整形外科の病院にかかるような病気や症状

 

■治療に使う吸着具は、治療しようとする所に入る最も大きなものを使ってください。

■皮膚の柔らかいところは、強い圧力で長い時間治療続けると水疱が出ることがありますので注意してください。

 

■吸着する圧力は、30圧〜70圧

■吸着する時間は、1分間〜5分間

 

足首の捻挫・・・捻挫の痛い所、内出血して青黒くなったところに治療します。

膝の痛み・・・膝の痛い所、内側、外側、前側では、膝を立てて痛いところを中

             心に治療します。膝の裏側では、椅子に座って、又は、うつ伏せ

             に寝て治療します。

股関節の痛み・・・鼠径部(お腹と脚の付け根)や外側、お尻に治療します。

腰痛・・・腰の痛いところに吸着具をつけてください。

背中の痛み・・・背骨の両横に腰から肩まで治療します。

肩コリ・・・肩のコッているところに吸着具をつけてください。

首コリ・・・肩、首、後頭部に吸着具をつけてください。

五十肩・・・肩のまわりに満遍なく治療します。

肘の痛み・・・肘の痛みがある所に治療します。外側の治療では、肘を90度に

              曲げて治療します。

手首の痛み・・・腱鞘炎や使い痛みなどでは、最も痛いところを中心に、吸着具

                  は2号〜4号で治療します。

頭の治療・・・頭痛、鞭打ち症、眼精疲労等の治療。

手の平、足の裏・・・全身の疲れを取るには、一日一度、強く治療します。

【内科的疾患】内科の病院にかかるような病気や症状。

 

 五臓六腑の働きがおかしくなると、ある程度決まったところに血流障害が発生します。その血流障害を改善すること、そのツボを刺激することによって目的の臓器の働きを改善することができます。

 

 体の内臓の大きなものは、肝臓、胆のう、心臓、脾臓、胃、肺、腎臓、膀胱、大腸、小腸などです。吸玉療法・バンキー療法では、これらの臓器を大きくまとめて治療します。

 

 バンキー治療の特徴は、治療器具の吸着面(吸着具)が大きく、小さなツボも広くカバーすることよって逃しません。針や灸などのように、小さなツボに針先で突くような治療とは違いますので、誰がやっても、だいたいの場所がわかっていれば、間違いなく的に当てることができるのです。

 

肝臓疾患・・・食べ過ぎ、飲み過ぎ、脂肪肝、肝硬変、眼の疾患など

胃腸疾患・・・便秘、下痢、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胃炎、腸炎、胸焼け、食欲不振、痔など

腎臓疾患・・・オシッコの出が悪い、夜中に何度もオシッコに起きる、前立腺肥大、膀胱炎など泌尿器疾患

 

 上記のような、内科的な疾患には、足の裏、内くるぶしの周囲、脚の内股を治療します。内股には、肝臓の経絡、脾臓の経絡、腎臓の経絡がありますので、それをなるべく大きな吸着具で治療すれば、すべてを治療することができます。胃腸疾患の場合は、脚の前側(胃経)も治療すると、もっと効果があがります。

 

胆のう疾患・・・胆のうの働きが悪い場合(胆汁の分泌など)には、肝経、脚の内股を治療しますが、胆のうが胆石や胆嚢炎で痛んでいるときには、脚の外側(胆経)を治療します。

心臓疾患・・・心臓の働きが悪い、心臓が疲れている、狭心症、動悸がする、階段をのぼったり坂道をのぼると息切れがする、こんな症状には心臓の治療を

します。治療場所は、腕の内側・小指側です。手首から脇の下、胸を治療します。圧力は、最初から強くせずに、徐々に上げるようにしてください。

 

肺の疾患・・・風邪、咳、喘息、胸が重たいなどの肺の症状や病気には、腕の内

              側で親指側を治療します。肩の前面、胸も治療します。

 

 

■すべての内科疾患に効果がある膀胱経

 脚の後側、膝裏から背中・背骨の両横を肩まで通る「膀胱経」は、すべての内科的な疾患を改善することができる経絡です。背骨からは、内臓に神経が張り巡らされていますので、この神経の出入り口を刺激する、血流障害を改善させることによって症状を改善、病気を治します。

 かといって、膀胱経(背中の治療)ばかりやっていれば良いか?これは、片手落ちになります。全身、すべてに効く膀胱経・背中の治療というのは、局所の治療をやって、仕上げの意味でやったほうが効果が高くなります。

 

■内科的な疾患があるときに、胸やお腹を出すだけで苦痛です。手、腕や脚の治療をしっかりやって、ある程度改善したところ、又は、症状が出てないときに胸やお腹の治療をやりましょう。

 体調が悪くなってくると、バンキー治療で吸着具をつけて、いつもだったら痛くない所が「今日はここは痛いな」と身体の変化を先読みすることができるようになります。昔の人は「コップが教えてくれる」と言ったものです。

 

 

A全身治療

 運動器疾患も内科的な疾患も、なんでもかんでも全部良くしてしまう・・・全身治療!吸玉療法・バンキー療法で使われる吸着具(コップ)の中で最も多用されるのが、直径5cm5号。これで全身を吸引すれば、「必ずどこか当たります!」難しいことを考えなくても、大丈夫、良くなります。

 まず、専門的なことを勉強する必要ありません、何も覚える必要もありません、とにかくたくさん体中にガラスのコップをつけて下さい。

 勿論、順番なんか関係ない、経絡も関係ない、どこが悪いかなんて調べる必要もない、全部治療するのだから、時間があれば、どこでも満遍なく!

 

       ■吸着圧力は20圧〜60圧

       ■一回の時間は1分間〜3分間

       ■全体での治療時間は1時間以内

       ■何度やっても反応が強いところはメモしておきましょう

 

 練習するのは、頭の治療だけです。髪を上手に分けて吸着具が付くようにします。脳卒中、肩コリ、首コリ、鞭打ち症、頭痛、二日酔い・・・治療の仕上げは頭です。百会と風池だけは練習します。

 

  【素晴らしい治療家への近道】

   ■ツボの名前、何に効くのかなどは覚えなくて良い。

        ・・・そんな暇があったら、どこでも良いから吸着具をつける。

       ■バンキーはテレビの前、家族の集合場所へ

        ・・・バンキーは使わなければ治らない、押入れでは出してくる

          だけでもたいへん、スイッチポンですぐに使えるところに

          置きましょう。

       ■バンキーはやってあげる治療法

        ・・・百年待っても治療してくれません!健康になりたかったら、

          家族にドンドンやってあげるのです。

       ■治療の押売りはダメ!

        ・・・とはいっても、むりやりやったら、金輪際バンキーしなくな

          ります。バンキー買ったすぐの初心者は、遠くの親戚やたま

          に来た友達にやってください。大切な家族はそれから。

 

 

 

外からバンキー治療で血液の流れを改善

内からサラサラ・血液の質を改善

 

 治療や養生は、内外どちらか一方では足りません。外からの物理療法・バンキー治療と、内から身体を作るものがそろって成り立ちます。

 

基本は、アミノ酸とビタミンC

 私たちの身体はタンパク質でその多くが構成されており、タンパク質はアミノ酸の組み合わせでできています。発病のプロセスは、まず臓器や組織の「違和感」があらわれます。次に、動きや働きが悪く「機能的な変化」となり、これが続くと、臓器や組織が壊れてしまう「気質的な変化」へと進みます。

 

 

 「病気になった」と感じ、検査の数字が上下するのは、多くは体のどこかが壊れてしまった気質的変化が起こってからです。壊れた状態にあるので、修理が必要です。その材料の多くにタンパク質=アミノ酸が必要になります。

●健康医学社では、日本人の食性に合った植物性のアミノ酸、穀物を発酵させつくった天然醸造のお酢を特殊技術によってアミノ酸をエキス化濃縮した「RVE21」を製造し皆様におすすめしています。

 

 

アミノ酸エキスとの相乗効果「アセロラエキス」

 アセロラに多量に含まれるビタミンCは、化学合成品とは違い、いろんなビタミンとミネラルを含んでいます。ビタミンCの効果は、ストレス解消、風邪に強くなる、免疫力強化、お肌を美しく、傷の治りを速くするなど、ビタミンの中でもダントツの健康効果!

 「アミノ酸エキス」と「アセロラエキス」を一緒に飲んでいる人は、相乗効果で病気や傷の治りが速く、元気ハツラツ、免疫力の向上、血液もサラサラに血流改善、その証拠に、バンキー治療での色素反応がキレイになるのがとても速くなります。それだけ浄血スピードが速くなったということです。



平成21年11月29日

井穴刺絡研究会・横浜
臨床報告

とんぼ鍼灸院 田口 昭

症 例 研 究

1 青木 ♀ 26主訴  アトピー(顔、首、背中、両手両足の湿疹と痒み)。        特に3ヶ月前から湿疹と痒みが酷い。朝起きると掻きむしっていて血
        だらけ。不眠。

     ○      
父親、妹がアトピー。本人冷え症、乗り物酔い、生理痛、ジンマシン
        暦あり

治療  12/07  左右H5F5   家庭で1週間お灸(長生灸)を勧める
          12/10 2晩は良く眠れた。まだ痒いが今までほど出ない。左右H5F5        12/13 夜は眠れる。顔の湿疹が少なくなった。左右H5F5
            12/19 4回目酷かったせいか「すっかり良い」と本人。背中はまだ出
            る。左右
H5F5 
            2/18
 その後2週間に1回の来院。背中の湿疹もなくなり落ちつく。
           その間左右
H5F5

まとめ  計18回の治療で肌もきれいになり化粧もでき別人。販売業の女性で治りたいために甘いもの、脂っこいもの、炭酸飲料を断って努力した。その後生理痛、偏頭痛、花粉症、肩のこりなど等で 月1回ほどの来院で過ぎている。

2)      中冨 ♀ 50歳 主訴  アレルギー疾患・・・夜中、体中にジンマシンがでて
                痒くて眠れない。
       8年前から症状が出てセレスタミンを飲み続けている。低血圧99/70、だるい。

治療  9/25 左右H5F5  家庭で1週間お灸をしてもらう
        
10/15 4回目 足にはまだ出るがほとんど良い。腰が痛いので左右
            
F4F5 と左右H5
          10/23 痒みを忘れるほどになった。この1週間で薬は1回飲んだだけ。            左右H5F5
          11/09 痒みなく夜も眠れる。右の首から肩が痛い。右H1H6、左右F4F5                、左右H5F5

     まとめ 8年間苦しんだ夜中のジンマシンがH5F56回でほとんど気にならな
        くなった。

         その後23週間に一度の来院。旅行添乗員をしていて添乗中は薬を離せなくてかゆみに苦しめられたが、今は薬も忘れる程になった。一年経過そのままの状態が続く。

3)      山田 ♀ 58
  主訴  肩こりで来院。聞いてみると痔で朝のウォーキングが痛くてできない悩み。
        姉が喘息。若いときにアトピー性皮膚炎を患う。

     治療  10/7 左右F2F6F4 百会。左右H2H5
         10/9 左F1F6F4 右F2F6F4 百会、 左右H5F5

     まとめ 2回の治療で良くなり(更に聞くと脱肛であった)散歩を1ヶ月ぶり
         に再開した。

4)      加藤 ♀ 61
  主訴  一昨日から激しく吐き下痢が続く。
3日間水も飲めない。だるく動けない。       SLE患者で顔に紅斑が出ている。一昨日医者へ行ったら点滴と飲み薬が出た
      が
薬を飲むと吐いてしまう。吐き気下痢が続いている。

     治療  7/11 午前中にすぐ来て欲しいと電話。昼休みに往診。
             左右H5F5お腹をこんにゃくで暖める。治療中もトイレに。
         
7/11 夜様子を見に行く。だいぶ落ち着いたがまだ下痢はある。            左右H5F5
         7/12 本人車を運転して来院。苦しんだ吐きと下痢がピタリと止まっ            た。

     まとめ 医者へ行って我慢していたが良くならず、2回のH5F5の井穴刺絡で
         劇的な効果があった例。今まで気がつかなかったが良く考えてみる
         と、マスクなしで除草剤を散布した。野菜の消毒もマスクなどした
         ことがなかったが今後は気を付けようということになった。



5)      林 ♀ 29

   主訴  左肩が凝り左耳の中から頭まで痛く会社を中退してきた。

    ○       生理痛ありと汗かき、血圧130/75 かなり太めの方で細い眼鏡

      治療  10/01 とにかく痛い。首を曲げることも侭ならない状態。触る
              と痛いほど。

                     H3 →左右H6F4 →百会。眼精疲労のEAP
               10/02 首の右曲げと後屈で痛み。左H4H5H6 →左F4F5F6、眼精
              疲労の
EAP    再度 左H4H5H6で楽になる。10/05 肩甲間部の痛みが残る。 左右F4F5 →左H1H6で楽になった。

   まとめ 左の肩から頭にかけての強い凝りが3回で楽になり仕事ができると喜ぶ。        

6 吉田  ♂ 66

   主訴  右肩前方挙上で肩に痛み。前屈、側屈で腰中心に痛み。 
       ○ 鉄工所の経営者。2ヶ月程前現場で鉄製の水門を設置していたら腰、肩の
       痛みが出てきた。日毎に強くなり思うように仕事ができない。今までこ
       れといった病歴はない。血圧
120/75  

   治療  2/25 大腸兪付近の筋肉の凝りに鍼と低周波パルス。
          右
H3H4 →右H2左右F3F4F5 痛み102になったと帰る。        2/27 同上 

    まとめ 2回で治った、不思議だと言いながら喜んで帰る。以後来院なし。

        痛み(体性神経)のある場合は井穴刺絡に鍼治療や低周波パルスを加え
        て治療している現状です。

7 内匠  ♂ 60

 主訴  右肩痛、耳鳴り、腰痛。腕の伸展と水平伸展屈曲で痛み、右小指の痺れあり。       4ヶ月前からぎっくり腰様で腰痛が続く、1ヶ月前から右肩痛くゴルフのスイ
     ングができない。降圧剤を飲んで
140/85 

  治療   5/19 右H1H6 →H2H5。左右F4F5。再度右H6 ?に置鍼と運動鍼。       5/22 〜5/28 まで3回とも同上

  まとめ 4回の治療で腰痛、痺れ、肩痛、耳鳴りまで改善された。交感神経の興
       奮からおきていた症状と思われる。

8) 加賀  ♀ 54
  主訴  緑内障と診断され視野狭窄あり。嚥下時に胸部の痛み。左肘痛。
    ○ 喘息の家系、冷え症。あちこちに愁訴あり。

  治療  11/26 左F1F6F4 →右F2F6F4。左H4H5。左右H5
         11/2812/07 まで4回、合計5回の治療で 肘痛、嚥下痛は改善された
          が、目は少し明るくなったかな?程度で改善されず。


  まとめ 緑内障で目の痛みはなく眼圧が高いと言われ視野が少し狭い程度で推移。
      病院の検査、通院もあり治療を諦めた例。

 

9) 吉安  ♂ 70
   主訴  夜間、ガスがたまって腹痛と下痢。または23日便秘。
    ○ 降圧剤服用130/80)、4年前から前立腺肥大の薬服用。一年中胃腸の調子
     が悪い。過敏性腸炎の診断で薬が出ているが飲んだり飲まなかったり。

  治療  7/17 F1F6F4 右F2F6F4。左H3。左右H6F4                   7/19 便が出たと喜ぶ。左F1F6F4、左右H6。左右F3F4             7/25 左F1F6、左右H6。下痢で左右H5F5                      8/07 鍼は調子も良く気分もいいが刺絡が痛くて堪らないと断られる。         F1F6F4で終わる。

 まとめ 4回治療して鍼治療の良さは分かったが、痛いので止めるという。その時に
     パイオネックス等の知識があったらと今になって悔やむ。治療技術の未熟さ
     を思い知らされた例。

 

 

 

21.11.29井穴刺絡 症例研究会  北野元昭

A 内科系 T 消化器疾患

  1 胃腸疾患   症例1 21歳 女性 平21.7.9 

   症状 便秘 痔疾
   職場環境の変化からか便秘ぎみになり一週間前から痔疾もおきた。出血無し。
   痛いのでブリザS軟膏を塗っていた。低血圧(97/68)である。
   その他の症状 コンタクトをつけている。目の奥の痛みあり。目の疲れあり。
   立ちくらみあり。肩こりあり。胃が重い。生理痛あり。

   治療と経過 
   首こり肩こりに対して眼精疲労の電気針を行う。有効
   剣状突起に圧痛及びヘソの両脇と左下あたりに堅さあり。
   左F164の刺絡を行うと剣状突起の圧痛は解消したが、ヘソの両脇と左 下あたりの堅さは   緩和とれない。
    右のF264の刺絡を行うとヘソの両脇の堅さが取れた
   痔疾に対して 百会に刺絡
   低血圧の立ちくらみに対して 左右のH55

7/13 便秘に関して。出たことは出たがすっきり出なかったので、薬を飲んだとの事。不安だろうが、なるべく薬を少なくするように指導。痔疾に関する痛みは軽減した。治療は前回と同じ
8/5 前回の治療後は便秘も痔疾も改善したので、少し休んでいたが、ストレッサーのためかまた便秘になった。首こり肩こりも再発。治療は前回と同じ。

   8/10 症状 首こり肩こり 眼精疲労 便秘 痔疾 低血圧 生理痛

   治療 眼精疲労の電気針 有効

      胃と肝の治療 左F16 右F26 有効      百会
      左右のH55
      左右のF3 有効

 8/17 隣家のトラブルで寝不足が続いた。疲れが溜まった感じがする。
      症状 首こり肩こり 眼精疲労 便秘 痔疾 低血圧
      治療は前回と同じ
       以後11/5までとびとびに6回の治療を行う。痔疾に関して痛みはなく快調であるという。
  11/5の症状として夜足が冷たくて寝付きが悪く、熟睡できない。
   目の奥の痛み。首こり肩こり。前頭部の痛み。風邪気味。便秘気味。
   治療 目の奥の痛み?右F26 有効
      首こり肩こり?電気針 有
      前頭部の痛み?左右のF4 多少有効
      風邪気味?左右のH16
      便秘気味?16
      夜足が冷たくて寝付きが悪い?低血圧による血行不良と考えられる
      左右のH55

  症例2 43歳 女性 平21.7.27 
  症状 便秘 眼精疲労 肩こり
       便秘は小さいときから。高校生の頃から便秘薬(市販のセンナ薬)を使用してきた。40
     過ぎてからむくみも出てきた。

  治療と経過 

  便秘?みぞおち及びヘソの周りの圧痛点あり?左F16?改善あ
  眼精疲労 肩こり?電気針?改善あ

  7/28 7/30 8/7 8/18 治療同上

8/25 最近便通の調子がよいとの事 薬を徐々に少なくしているとの事。治療    同上
    薬の替わりにオートミールを勧める。

9/10 オートミール・・2回ほど飲んだ・思ったより飲みやすく、便秘しそうな時飲んだら出た。薬(以前よりも少ない)にも頼っているが 11回と出ている。治療同上

9/17 昨日は薬を飲まなくて通じあり。今日はまだ出ない(薬を飲んでない)治療同上

9/30 925日ごろから風邪気味。26日カラオケで歌いすぎてかな・・。調子が悪くなった。便秘は薬を飲まないでも調子よかったが、22?23日出なかったので薬を飲んだ。しばらく飲んで無かったのに、急に飲んだためか下痢してしまった。

  今日は便秘の薬は飲んでない。治療同上

  10/14 便秘の薬を飲まなくとも便通が良くなった。治療同上
  11/4 先日ちょっとセンナ大王を飲んだら効き過ぎて大変な思いをした。治療同上

 

 U 腎・膀胱疾患

  1 排尿障害  
  症例1 83歳 男性 平成21.10.7 
  症状 頻尿 特に夜間、3?4回トイレに行く。そのた睡眠障害あり。
  頻尿の薬を飲んでいる。
  この患者さんは腰の痛みで来院していたが、治療過程で頻尿の症状を告げてきた。

  治療と経過

  左右のF34

  10/13 治療した夜と翌日は1?2回トイレに行く。日が経つと3?4回に戻ってしまう。
  10/20 治療した夜は起きないか1回にとどまる。
  10/28 前回の治療以後、夜中にトイレに起きるのが少なくなった。そのため頻尿の薬を飲まな
      いでいる。

2.症例2 71歳 女性 平成21.9.3 

  症状 頻尿 

  この患者さんは喉の違和感で8/27から一週間に一回の割合で来院していたが、治療途中で頻尿の症状を訴えてきたので、背中の腎の部分を両手でたたいて貰った。左側に違和感あり。左のF3を刺絡した。変化はあったが違和感がまだある。左のF4を刺絡。違和感なし。即効性があることに不思議がった。

  9/18 前回の治療から頻尿の症状は緩和したという。心配などでまた同治療を希望

   

 V 循環器疾患

  1 高血圧症

 

 W アレルギー性疾患

  1 アトピー性皮膚炎

  症例1 56歳 女性 平成21.8.24 

 症状 首の回り、腕に湿疹 日に当たったり、汗をかくと痒くなる。この患者さんは肩こりや膝の痛みで来院していたが、眼精疲労の治療のため電気針をした直後首の周りの湿疹が痒くなった。

 治療:首周りをさわって感触を覚えて貰いH55の刺絡をした。直後、首周りをさわって貰うと「痒みがうすらいた感じがする。」と言う。この患者さんは10数年来のアトピー性皮膚炎を煩っている。長年、土佐清水病院の丹羽先生の薬を塗っているとのこと。

 

  2 花粉症

  症例1 58歳 女性 平成21.9.25

  症状 朝起きてから、くしゃみ、鼻水、目の痒み

  治療と経過 左右のH5 施術直後目の痒みがとまり、鼻水も収まったけれど、くしゃみは時々出る


  症例2 58歳 女性 平成21.10.19

  症状 朝起きてから、くしゃみ、鼻水、目の痒み

  治療と経過 左右のH5 施術直後目の痒みがとまり、鼻水も収まったけれど、くしゃみは時々出る 
  

B 整形外科系

 1 肩周辺部の痛みとこり

 症例1  63歳 女性(低血圧93/52) 平成21.8.25 

 症状 右肩から右背部にかけてのこり。両膝の裏側が足を伸ばすと痛い。従って側臥位で寝ている。寝付きが悪い。左ふくらはぎがつる。便秘症

 治療と経過 メガネをかけているので眼精疲労の治療を行う。治療後見え方に変化あり

 明るく、くっきりはっきり見えるようになったとの事。症状はやや改善。

 左F54に刺絡 肩のこりは無くなった。

 左右のF45 膝をまっすぐ伸ばしベッドに仰向けに寝ても膝は痛くないと言う。

  9/25 先月の治療後しばらく良かったが、両膝の裏がまた痛いと来院。「前回の治療で首肩のこり
は 無くなって楽になった」と言う。確かに以前パーンとはっていた肩が柔らかくなっている。

 左H55と左右のF4

 11/1 症状 少し重い服を着ると肩がこる。便秘 座位から立って歩き始めたときにモモが突っ張り痛くなる。夜間、足がつることは無くなった。

 治療と経過 眼精疲労の治療 症状はやや改善

 腹部に圧痛あり 左F16 8割がた改善

 仰向けに寝ると膝がしっかり伸びない感じ。ベッドの面から膝が浮いている感じ。

 左右のF45  膝裏がぴたっとベッドの面についた。

 便秘 F16

 その後11/10来院 症状(血圧96/55)特にいたいところはない。前回の治療後、気が付いたら、座位から立ち上がって歩いても足が痛くなくなっていた。仰向けで寝ていられなかったが、楽に寝られる。まだ便秘がちであることと、足の痛みが消えたが、また 出てくると嫌なので継続治療したいとの事

 治療 足湯15分 左右のF54 左F16 右F26 左右のH5 百会に刺絡
 

 症例2  35歳 女性 平成21.10.6 午後8時 

症状 103日 車の助手席に乗ってからしばらくしてから右首から右肩にかけて痛くなり、今朝も痛くて、元々薬は飲まない方だが、バッワリンを1錠服用した。効果無し。湿布効果無し。温めても効果無し。首を曲げ、痛み確認。どう曲げても、右肩がとにかく痛い。右腕を動かすと肩が痛い。

治療 レイシック手術をしたことがあると言うので、眼精疲労電気針施術を行う。効果無し。眼精疲労からくる痛みではないもよう。刺絡の説明をした。この痛みが止むのであれば多少の痛みは我慢するという。明日もパン屋のパートでパン焼きの仕事が控えているとの事。右H55を刺絡。思ったほどいたくないと言う。体を起こして腕を上げて貰う。首を曲げてもらう。いずれも痛みは無くなっていた。「えー、うそーあの三日間はなんだったの!」と言う。不思議そうに腕を振る。付き添いで運転してきた旦那さんは「だから言っただろう、早く来れば良かったんだよ」言う。この旦那さんは以前腰痛で来院したことがある。患者は「夜、1時間以上かけて来たかいがあつたね」と言った。

仕上げに百会に刺絡して終了。明日時間があったら来院するようにいう。

10/7 症状 首を左に曲げると右首筋から肩にかけて、痛みはないが、重い感じがする。

治療 右H55を刺絡 重い感じが取れた。

11/19 患者の旦那さんに合った。「この間は有難うございました。嫁さんの肩はあれからバンバンでパートで頑張っています」とのこと。

  

 2 腰痛症

 症例1 71歳 女性 平成21.11.14 

 症状 発症、2週間ぐらい前。左の腰の下、左足に重心をかけて右足を上げると臀部が痛くなる。平成13 年に左膝のお皿を割って手術したことがある。

 治療と経過 足湯を15分間 手術痕に圧痛無し。発痛動作をさせ、発痛を確認し、左F54を刺絡。再 度発痛動作をさせ、どのように動かしても痛みがないことを確認した。

 症例2 80歳 女性 H21.6.2  

 症状 1年ぐらい前から腰と左足に冷えと痛みとしびれがある。左足足底はスリッパを履いた感覚が分からない。県立病院では腰から来ているので治らないと言われた。次の病院では歳だから治らないと言われた。患者さんの紹介で来院。

 治療と経過 左のF54FF3 百会に刺絡。痛みは軽減しびれはまだある。

 6/9 冷え、痛みはかなり改善 しびれは親指と第2指及び足底の指の付け根あたりに残っている。治療点 左のF541263 百会に刺絡 毎日足の刺絡部位に千年灸をやるように指示して千年灸を持たせる。

 6/25 10日空けての治療。臀部から胆経上の痛みはほとんど無いという。冷えもない。しかし、左足の親指などの指先と足底に痛みとしびれがまだ残っている。それでも治療により左側の背中や腰や足の痛みやしびれが軽減したことをすごく喜んでいる。

 治療点 左のF541263 百会に刺絡

 7/7 左足の親指の内側から足首にかけてまだ痺れあり。前回は母指全体にしびれがあったが、今は母指 の内側に沿った部分に縮小している。

 黒酢による足湯を10分間(42℃) 左のF541263に刺絡 電気針を上記痺れに沿って行う。 頭部K刺絡 腰から下の症状改善のため。

 7/17 前回の治療から今日までの症状 足の状態は良かった。痛くならなかった。以前のように畑に出て農作業が出来るようになってうれしいという。表情が明るくなって来た。症状 左足親指の内側脾経上にまだ少し痺れあり。同則の足底前部に違和感あり。何かが張り付いているような感じ。スリッパが脱げやすい。

 治療点 左F123 百会に刺絡 左前脛骨筋の筋トレを指導

 7/31

 症状 左足の親指の内側と左足の足底指側にまだ痺れあり

 治療点 左F123 百会に刺絡

 効果 改善あり

 症状 血圧が年令にしては少し低い 131/78 血流障害が有るかも。

 治療点 左右のH55

 施術中、「脚のしびれは腰から来ているので治らないと言われ続けてきたが、こうして治して貰ってありがたい」という。「前回、教わった足揚げの体操をやっていたら、畑での歩き方がサッサッと歩けて気持ちがよい」とのこと。

 8/14 8/27 9/15 9/29 10/28 11/10 

 症状 左足の親指の内側と足底の指の付け根あたりにしびれが少し残っている。

 現在治療継続中

症例3 81歳 女性 H21.6.13  

 症状 腰が曲がっている。腰をギューと曲げると痛みが出る。痛みの場所を特定できない。30メートル も歩かないうちに、腰が痛くなる。腰を伸ばして少し休むとまた歩ける。腰を曲げて畑仕事は出来る。腰 が痛くて整形外科に行った。腰に注射を1週間に2回受けた。痛み止めと骨を強くする注射。SLR、ラセー グテスト、パトリックテスト、神経テストをやったがいずれもマイナス。

 治療 内臓に圧痛があったので、関連の刺絡をやったがいずれも効果無し。上位中枢からの痛み除去を期待して左右のF4を刺絡 

 効果腰が楽になったという。帰り際、旦那さんが車で280メートル先に行って、助手が伴走して歩き通 し、一緒に車に乗って帰った。

 6/15 治療点 左右のF4 長座位にて腰陽関に圧痛点あり。脊柱上の圧痛点なので、百会に刺絡。痛みが無くなったとのこと。腰がすっと伸びた感じがする。向かえに来た旦那さんに「おまえ姿勢がよくなったな!」言われて喜んでいた。

 6/18 「だいぶ良くなった、長く歩けるようになった」と言う。立位にて前屈しても痛くなく指先が床 に着く。

 治療 左右のF4 百会に刺絡

 6/25 「あれから歩いても痛くならないし、背骨もまっすぐになった」と言う。「あさって孫の結婚式に和服を着て行きたいから、念のためもう一度治療してくれ」と来院。

 治療 左右のF4 百会に刺絡 円皮針・腰陽関、左右の大腸兪、左右の京骨

 後日、結婚式に孫の希望通り和服を着ることができて、「ありがたい、ありがたい」と言っていた、と親戚の人から聞かされた。

 3 脚の痛み

 症例1 64歳 男性 H21.9.25  

 症状 間欠性破行。1年位前から。500メートルぐらい歩くと右そけい部からふくらはぎにかけて痛みが 出て歩けなくなる。5分ぐらい休むとまた歩ける。右足首を4年前骨折して手術、傷跡確認。痛点1箇所あり。最初の痛点を2度目に確認したら痛くなくなり、別な所が痛くなった。パトリックテスト、右そけい部が突っ張り痛い。

 治療 症状が出る500メートルを歩いて貰う。痛みが出たところで、右F452を刺絡

 効果 また500メートルを歩いて貰う。すこしつる感じはするが、痛みが出ない。

 脚が軽くなった。反対側の脚もやって貰いたいという。最後に百会に刺絡

 9/28 昨日の治療後、歩いても痛くなくなったが、そけい部に張った感じがする。

 治療 今日は500メートルの歩行テストの替わりに、パトリックテストを行う。右足は左足に比べて低く ならない。右膝を圧迫すると、そけい部内側に痛みを感じる。

 右F26刺絡 内側から外則に痛みの移動 右F54刺絡 内側に痛み移動

 右F2と右F3刺絡 右足のパトリックテスト 外則にピクンと痛みを感じる。

 百会に刺絡

 9/30 前回と同じような症状。痛みの出る経絡上に圧痛点はないか調べるが無い。

 治療穴は前回と同じ

 10/9 1キロメートルぐらい散歩をするようになったと言う。やはり500メートルほど歩くと、前のよう に右足全体が痛くはないが、そけい部に痛みが出るという。5分ぐらい休むとまた歩ける。治療穴は前回と同じ閉塞性動脈硬化症症状?

 禁煙 片足立ち、スクワット ストレッチなどの指導

 10/19 症状 前回と同じ。治療穴は前回と同じ アテローム血栓症の心配があるから大きい病院での診 察を助言

 10/27 症状 前回と同じ。治療穴は前回と同じ 

 11/4   症状 前回と同じ。治療穴は前回と同じ 通常の生活に支障がないからと言って病院に行かない。しばらく自分で様子を見るとの事。

  

 4 膝の痛み

 症例1 56歳 女性 H21.7.28  

 症状 一ヶ月前から左膝の前と内側に運動痛

 治療 F6 

 効果 前の痛みは取れたが内側の痛みは取れない

 治療 F12

 効果 内側の痛みも取れた 患者曰く「膝の痛みが出たくても出られない感じ」と言う。

 

 C その他

 症例1  71歳 女性 平成21.10.8 # 低血圧100/63

 症状 右目がネバネバする。問診中、しばしば右目に手がいって、目尻をこする。目ヤニが出る様子。

 治療 そのネバネバがアレルギー性のものであるか否か調べるために。

 左のH55を刺絡。この井穴刺絡によりネバネバ感が減少または無くなればアレルギー性のものであると思われる。

 効果 刺絡後、ネバネバ感が減少。アレルギー性のものであることがわかる。追加として、右のH55 を刺絡する。ネバネバ感がないと言う。患者は「そんなにすぐ効くものなの?」と言う。




浜島先生の臨床報告資料


主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
左上顎歯茎痛 61才 女性 往診 なし
主訴 インプラント手術後、クリーニングを受ける度に歯茎が腫れて痛み、食事も辛い。
治療 食事時間に合わせて往診。
到着時、痛みのために食事を中断していた。
左F1→ 食べてもらうと、「楽になってるかな?」 咀嚼できている。
左F6→ 「痛くない、かめるわ」
治療終了
*翌日、翌々日の確認でも「すっかり治っています」(痛まない)とのこと
まとめ F1F6はインプラント後の歯茎にも効果がある。また、左だけでも効果がある。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
歯痛 31才 女性 通院 一時的な神経痛の様な物→虫歯
主訴 歯が痛くてかかりつけの歯医者に行ったが虫歯ではないといわれて鎮痛剤を処方された。
数日経っても痛みは変わらず、再度受診するも鎮痛剤の処方のみ。
治療 左F1→ 変化無し  左F6→ 変化無し 
右F1→ 変化無し  右F6→ 変化無し
H6F4→ 「少し楽かな?でも痛いです。」
百会→ 変化無し
再度F1F6→ 「楽になった気がします。」
治療終了としたが、少し食べてみてもらうとすぐに痛みが再発。
刺絡で効果がないので別の歯科医を受診してもらったところ、昔に詰めた金属の
下が神経に達するほどの虫歯になっており、神経を抜いて治療したとの事でした。
まとめ 神経に達するほどの虫歯には井穴刺絡でも効果が無いことがある。
井穴刺絡はより重篤な疾患の有無を鑑別する場合にも役立つ。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
歯痛 81才 男性 往診 歯根破損
主訴 食事中に上下の前歯をガチッ!と噛み合わせてしまい、下の前歯がぐらぐらに。
その夜から炎症をおこし、歯科受診し「炎症が治まってから抜歯か接着」との
説明を受ける。 痛みのために食事が少量しかとれない。
治療 左F1→ 「うずかなくなってるね。」
左F6→ 「もう痛くないわ、(痛みが)消えちゃったよ」
治療終了
*翌日の消毒時に歯科医が炎症の収まりがすごく早いと驚いていたとのこと。
結果、歯科治療もすんなり進み、歯根を接着できたため、前歯を残すことができた。
まとめ F1F6で歯根破損時の腫れを抑え、疼痛を抑えることができた。
また前歯でも、左のF1F6だけで効果がでる。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
拘縮予防改善(寝たきり) 68才 男性 在宅 脊髄小脳変性症
主訴 脊髄小脳変性症のため、痙性マヒが強く、おむつ交換も困難になってきた。
訪問リハビリが効果無しとの判定で終了になってしまう。
治療 H6F4を週1回、4週間→ 変化無し 
H5F5を週1回、4週間→ 変化無し
全井穴+百会を週1回、4週間→ 3週目に家族から「なんとなく柔らかくなったかな?」との感想
全井穴+百会を週3回、4週間→ オムツのサイズを小さく(適正サイズ)できた。
以降は週3回、てい鍼での治療に変更中。
まとめ 脊髄小脳変性症による痙性マヒにも一定の効果をだせた。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
拘縮予防改善(寝たきり) 80才 女性 在宅 脊髄小脳変性症
主訴 脊髄小脳変性症のため、特に下肢の痙性拘縮が強く移乗が困難になってきた。
リハビリを受け入れないので拘縮が進んできている。
治療 H6F4を週2回、4週間→ 治療した当日だけ下肢の緊張が弱くなる。
                本人が嫌がらないので続けたいとの家族の要望。 
全井穴を週3回、4週間→ 当日は柔らかく、機嫌も良くなる。
全井穴を週1回刺絡、週4回てい鍼→ 維持
転居により治療終了
まとめ 脊髄小脳変性症による痙性マヒにも一定の効果をだせた。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
(弛緩性)全身麻痺 90才 女性 在宅 頚椎圧迫による四肢麻痺・拘縮
主訴 弛緩性の全身マヒだが首を動かしてしまい頚椎を安静にできない。
頚椎安静の指示の為、リハビリ不能
治療 H5F5+百会を週2回8週+バランス訓練→ 百会が心地よい、保持有りで端坐位が可能
H5F5+百会を週2回、全井穴+百会を週1回10ヶ月+バランス訓練→ 
両手に4点杖の歩行で町内一周が可能に。
転居により治療終了
まとめ 弛緩性の全身マヒでH5F5(副交感)へのアプローチで著効を見ることができた。
H5F5+百会の刺絡で気持ちが前向きになれた事も大きい。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
ターミナルケア 54才 女性 往診 多臓器転移の末期癌
主訴 末期癌でほとんど意識が無いか辛そうにしている。
治療 全井穴+百会→ 顔色が良くなり、バイタルも安定する。
刺絡後には意識が戻り、旦那さんを認識できることも多かったとのこと。
 *週に1、2回、数週間続けたが、容態の悪化により治療終了。
まとめ 悩んだときにも全井穴+百会でなんとか変化をだせる。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
尿路結石の痛み 83才 男性 在宅 脳梗塞後遺症、嚥下障害、膀胱結石、胃ろう
主訴 結石の痛みが激しく、衰弱してしまう。
治療 F3F4→ 落ち着く
*5日間継続、翌週3回、翌々週1回治療
治療期間中は強く痛む事がなく、夜もよく寝ていた。
現在は家族がてい鍼でケアをしているが効果は分からないとのこと。
まとめ 腎臓・膀胱はF3、膀胱経でF4として著効をみたが効果の継続は難しい。
てい鍼では刺絡の様な効果を出せない。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
熱発、関節の痛み 33才 男性 通院 新型インフルエンザ
主訴 夜になり体温38.6度、咳 家族歴アリ(子供がA型陽性)
治療 H5F5+百会→ 明らかに楽になった。10分後には36.8度に下がり症状消失。
*翌日、夜に再び熱発、体温39.6度、関節痛、咳。
H5F5+百会→ 効果を感じず、39.2度。
H6F4+百会→ 楽になる。20分後には37.6度に
翌朝には平熱、症状消失、一応病院受診し診断を受けたがそのまま症状はでていない。
まとめ 微熱にはH5F5、高熱にはH6F4で効果があった。
熱発時の百会は楽になる実感が強い。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
胃痛、吐き気 62才 女性 往診
主訴 昼過ぎから胃が痛くて寝込んでいる。起きると吐き気を催して吐いてしまう。
過去にも何度か同じ症状を経験している。
治療 左H3(心臓)→ 効果無し
左F1F6(胃腸)を間違えて左F5F6→ 効果無し
H6F4(交感神経)をやろうとして間違いに気がつき右F5F6、F1、H6
肩が軽くなって、顔色が良くなってきた。
H5F5+百会→ 立っても大丈夫になったがまだまだ具合が悪い。
ここまでで左H3、F5、F6、F1、H6、H5F5、百会。一旦終了とする。
まとめ 治療失敗である。
振り返ると、左H3(心臓)、F1F6(胃腸)、H6F4(交感神経)、百会+後頭部眼精疲労、
H5F5(副交感神経)としてみたかった。 F4の刺絡を忘れたままで終えていた。
2、3日寝込むところが翌日には治っていたので効果があった気がすると言われたが・・・
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
前頭部に腫瘍 89才 男性 在宅 皮膚悪性腫瘍(疑)、アルツハイマー病
主訴 20年前に皮膚癌を焼いた痕が最近じゅくじゅくして広がってきている。(前頭部)
アルツハイマー病で病院に行ってくれない。8cm*4cm厚み3cmほど
治療 H6F4+百会を週に2回8週間→ 小さくなってきた。そのためか、痒みを感じて皮膚科受診、
大学病院への紹介状をもらうが遠いので行かないとのこと。
継続、週に1回現在14ヶ月目→ 3cm*3cm厚み7mmほど
                     小さいものはすでに瘢痕化している
まとめ 前頭部なのでF456の選択もあるが、交感神経H6F4で効果がでている。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
膝痛 82才 男性 往診
主訴 1ヶ月ほど前から膝が痛くて歩くのも辛いほど。
治療 両膝の内側から前面に痛みがあるとの事なので消去法で選択
F4(後面)、F5(外側)、F1F6(前面)、F1F2F3(内側)とする。
左F4→ 立位が可能になり「魔法の様だ!」体重負荷で痛む。
左F5→ 体重負荷も可能になるが片足立ちで屈曲で痛む。
左F6→ 歩けるがひねると痛む。
左F3→ 「少しいいかな?」
左F1→ 「何をしても痛くない。どっこもいたくないよ。」
治療終了 翌週、「まだひねると痛いなぁでも散歩もできてるよ」
F1→ 大分良い
F3→ 何も痛くない。 F4追加で治療終了 *10日間経過しているが効果継続中。
まとめ もともと左腰が悪かったとの事なので(後になって思い出した)、
F4で改善したのだろう。刺絡の効果で既往歴を探ることもできる。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
膝痛、浮腫 79才 女性 往診 変形性膝関節症
主訴 ここ数年、膝が痛くて、足がむくむ、16年間高血圧で投薬、昔からの腰痛
治療 腰、高血圧、高齢:H6F4   膝(内側):F123
F4→ 腰が伸びて楽に立てる歩ける、歩きやすくてふらふらする?
H6→ 歩いても痛いところがない、ふらふらしない
F123→ 立ったまま床の物も拾えるし、階段も上れる。
百会で治療終了
*6日後、元に戻ってしまい再度往診。継続予定
まとめ 効果の継続性が課題となる。
高齢、高血圧の場合は治療の中にH6F4を入れると効果的か。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
股関節痛 41才 女性 在宅 変形性股関節症
主訴 股関節が痛くて立てない、歩けない。MRIで軟骨が消失しているとの所見
治療 H5F5、F123456、H6F4に百会のパターンでアプローチ。週1回で6ヶ月経過
普段はH6F4+百会、生理時にはH5F5+百会、痛みが強い時にはF123456+百会
のパターンが一番楽になる。
まとめ 女性の患者さんでは生理のタイミングで治療の方針を変えないと効果が出ないことがある。
半年間で薬の漸減、精神状態の安定は見られるが疼痛の表現に変化は少ない。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
膝・腰痛 81才 女性 在宅 慢性閉塞性動脈硬化症、変形性膝関節症
主訴 足腰が痛くて這って歩いている。
治療 H6F4+百会を週に2回4週間→大分歩けるが、15分が限界で痛みと痺れで歩けない。
継続6ヶ月→ 通常のリハビリやマッサージを受けられる。
旅行にも行ける。 1年4ヶ月経過、月に2回ほど継続中
まとめ 基礎疾患や画像診断に変化が無くても症状が取れることはある。
刺絡で楽になっている時に動いても後で増悪することはない。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
間欠性跛行 81才 男性 在宅 腰部脊柱管狭窄症
主訴 長く歩けないので電動車イスで外出している。高血圧
治療 H6F4+百会→ 著効、前屈も後屈もできる、体が軽い。
以降、週に1回の治療で病院やスーパーの中を歩いて回れる状態が継続。
10日間ほど治療しないとまた歩けなくなる。
転居により治療終了
まとめ 腰痛にはとりあえずF4+百会だが、重度の脊柱管狭窄症の診断を受けていても
十分効果が出せる。(MRIの所見に変化はないまま)
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
大腿骨骨折術後痛 76才 女性 往診 右大腿骨骨折後遺症
主訴 右大腿骨頸部外側骨折をキャンセラススクリューで固定(6ヶ月前)
在宅でリハビリを続けているが痛みのために体重負荷ができない。
痛がり、怖がりさん
治療 F1→ 体重負荷可能、痛くない
すると、膝関節外側が痛いというので
F5、ついでにH5→ 手すり利用で踏み台昇降可能
治療終了
*1週間後には痛みが戻っていたが体重負荷はかなりできている。
  刺絡に抵抗感をお持ちなので様子見中(痛がりさん)
まとめ 刺絡で改善している場合にはどんどんリハビリしても大丈夫である。
麻酔などと違うのは刺絡の鎮痛効果は無理をすればちゃんと痛んでくれる。
主訴 年齢 性別 治療形態 医師による診断名
体に力が入らない、震える 81才 女性 在宅 解離性障害
主訴 歩けない、震える、怖い、死にそう、など訴え、周囲の巻き込みが強い
治療 H5F5+百会、周辺→ すっきり眠れる。
4週ほどで昼夜がはっきりしてきた。
状態が悪いときは全井穴+百会、良いときにはH5F5+百会
現在13ヶ月目、薬も漸減し、介護も受け入れ安定している。
まとめ 精神症状には頭部刺絡とH5F5で様子を見る。よければ継続。
調子を崩したときには(波がある)とにかく全井穴で効果をだす。



22829

58回 井穴・頭部刺絡研究会           北野元昭

 

      「最近の症例から」

症例 五十肩

53歳 女性  主婦 H22.7.13初診

主訴 肩の痛み

1.右腕を前方挙上すると肩の高さまでしか挙がらない。それ以上挙げようとすると痛みが出る。

2.左腕を前方挙上すると、耳のわきまで挙がるが痛みが出る。

経過

今年、3月初め頃、腕を上げたとき右肩が痛み出した。数日たっても痛みが取れないので病院に行った。病院でMRIを撮った。痛み止めと湿布をもらい、ヒアルロン酸の注射を受けたが、あまり効果が無かった。週一回病院で振り子体操などのリハビリをおこなっている。

夜間右肩を下にすると、激痛のため目が覚め、寝返りができなかった。睡眠不足になった。また無意識に棚の物を取ろうと、右手を伸ばすと痛みがはしり肩を抱えてうずくまるほどであった。最近では右腕の可動域制限が強くなり、痛みは減少している。しかし、今度は左肩が痛くなり始めてきたので、あの痛みをまた経験したくないので来院した。なお、針治療は初めてである。

除外診断:

・石灰性腱炎:急性に発症したのではない。強い自発痛は陰性、発赤は陰性

・肩峰下インピンジメント症候群:インピンジメント徴候は陰性 外転60度?120度で特有の痛み無し

・腱板断裂:ドロップアームサインは陰性

症状及び症状の経過から肩関節周囲炎いわゆる五十肩と思われる。右肩は慢性期、左肩は急性期に入ったものと思われる。

基礎データ

体温  36.5

脈拍  86/

血圧  101/69

 

治療(1回目)

 右肩に関して

経絡テストを行い肩の痛みが腕のどの動きによって出るか確認する。

1. 前方挙上

水平・・・痛み無し

水平よりもう少し上・・・このへんから腕が挙がらなくなる。無理に挙げようとすると、肩の上部に痛みが出てくる。

耳の横まで・・・・拘縮が強くて挙がらない

2. 手を後ろに持って行ったとき 

  肩の前面に痛みが出てくる。

3.反対の肩に手を持って行ったとき

 痛み無し

4.反対側の脇の下に手をもつていったとき

  痛み無し

5.親指を上にして広げる

  痛み無し

 

治療穴

右H61を刺絡・・・前方挙上により肩の上の痛みは三角筋の後部繊維に移動        

右H12を刺絡・・・手を後ろに持って行ったとき肩の前方の痛み減少

右H45を刺絡・・・三角筋の後部繊維の痛みと可動域は改善したがまだ前方挙上により耳の横まで腕が届かない。     

 

治療 左肩に関して

経絡テストを行い肩の痛みが腕のどの動きによって出るか確認する。

1.前方挙上

水平・・・痛み無し

水平よりもう少し上・・・痛み無し。

耳の横まで・・・・肩の上部に痛みがでるが挙がる。

2.手を後ろに持って行ったとき 

  痛み無し

3.反対の肩に手を持って行ったとき

 痛み無し

4.反対側の脇の下に手をもつていったとき

  痛み無し

5.親指を上にして横に広げる

  痛み無し

治療穴

左H61を刺絡・・・前方挙上により肩の上の痛みは三角筋の後部繊維に移動        

左H45を刺絡・・・三角筋の後部繊維の痛み減少

 

 

肩の痛みに関するチェックポイント

1.虫垂炎の手術は?・・・やったことがない。

2.右手の指先から手の甲そして手首までの圧痛?

 「合谷」に圧痛が有ったので、円皮針を貼ったが、特に効果無し。

3.右脇の下の圧痛?・・・・無し

4.「巨骨」の圧痛?・・・・無し

5.足の甲、F5の中足骨の圧痛?・・・・無し

 

7/142回目)翌日

基礎データ

体温  37.0

脈拍  88/

血圧  97/59

昨日血圧が低いので、「アレルギーはありますか」と聞いたが、「特に有りません」とのことだったので、気にとめなかったが、治療をしているうちに足に虫に刺された痕が何カ所も赤く腫れていたり、浸出液がにじみ出て痛々しい様子だった。(昨日はジーパンをはいてきたので分からなかったが、今日はスカートをはいてきたので分かった)

治療

治療方針 五十肩の痛みと拘縮は体生神経の問題と同時に副交感神経の異常亢進によるアレルギーの症状と考え、H55の刺絡を試みる。

ついては、副交感神経の異常亢進との関係を確認するため、痛みが出始めた左肩と経絡的につながりのない右F5から右H5左F5左H5の順に刺絡をおこなった。

効果

左肩

前方挙上により耳の横まで腕を上げられ痛みは減少した。

右肩

前方挙上による拘縮はほとんど変わりないが三角筋の後部繊維の痛みは

減少した。

手を後ろに持って行ったとき痛み減少

再度左右のH55を刺絡した。さらなる痛みの減少はみられなかった。

 

7/153回目)翌日

基礎データ

体温  36.4

脈拍  81/

血圧  114/68

 

井穴刺絡の刺絡時の痛みの感じ方の違いについて。

血圧の高い交感神経が亢進しやすい人の場合。痛みの表現は「ゴムぱっちん」された感じ。痛みはそのときだけタイプ。痛みに強い感じがする。

血圧の低い副交感神経が亢進しやすい人の場合。痛みの表現は「除夜の鐘タイプ」最初はさほど痛くないが後から痛みが余韻をもって響いてくる感じ。痛みに弱いタイプ。副交感神経の痛みの増幅作用が有るのではないかと思う。

当該患者は後者のタイプなので連日の同じ井穴への刺絡は控えた。代わりに患部へ13番針を置針する方法をとった。

症状

右手を前方挙上すると水平より少し上の所から昨日同様三角筋の後部繊維に痛みが出た。

左手を前方挙上すると耳の横あたりから昨日と異なり三角筋の中部繊維に痛みが出た。

治療

右肩:同則の三角筋の後部繊維に痛い状態で13番針を10分置針。

   置針後針を少し引き上げて、数回右腕を前方挙上してもらう。

左肩:同則の三角筋の中部繊維に痛い状態で13番針を10分置針。

   置針後針を少し引き上げて、数回左腕を前方挙上してもらう。

効果

右肩:拘縮にはあまり変化はないが、痛みが肩の上に移動した。対処として

   肩井に13番針を5分置針した。

左肩:ビーンという痛みはなく重い痛みになった。

最後に百会に刺絡

首を右に3回、左に3回ゆっくり回したあと、刺絡をして20回出血させ、再度、首を回してもらう。首から肩にかけて楽になったという。肩が痛たかったため、首コリ肩こりが発生していたものと思われる。

 

 

7/164回目)

基礎データ

体温  36.4

脈拍  80/

血圧  110/76

 

肩の痛みにはアレルギーが関係していると考え、左右のH55の刺絡をおこなう。H55の刺絡を2回おこなう。1回目より2回目の方が改善の度合いがよい。左右の腕とも治療前に比べてさっと挙がることが分かるという。痛みはまだ少しある。

治療穴 左右のH55 左右のH4 百会

 

7/175回目)翌日

基礎データ

体温  36.8

脈拍  78/

血圧  104/72

 

前腕挙上による左右の発痛点である三角筋の後部繊維に電気針をおこなう。

左肩の痛みはだいぶ緩和された。しかし、右腕の可動域はあまり改善がない。右腕を上げていくと次第に肘が曲がりさらに上げて行くと右肩を反らすようになる。肩の前面が伸びないと考え、右のH12の刺絡をおこなう。多少の改善有り。

これまでの治療により腕を上げる時の激痛はみられなくなったので、次回は1週間後に治療することにした。その間右肩に対しては振り子運動、傘を使った万歳体操、押し上げ体操。うちわを使った体操を毎日それぞれ5回づつおこなうように指導した。

 

7/246回目)一週間後

基礎データ

体温  37.0

脈拍  82/

血圧  109/69

 

症状

右肩・・右腕の前方挙上に制限有り。一週間前とほぼ同じくらいの角度

    右腕を上げていくと次第に肘が曲がりさらに上げて行くと右肩を反ら      すようになる。痛みはあまりない。

左肩・・左腕の前方挙上について。前回は耳の所まで上がっていたが、今日は耳の少し手前で止まった。可動範囲の縮小がみられた。

治療

55の刺絡を2回おこなう。

左右の肩の痛みは減少。可動域の拡大はみられず。

経絡上の問題を解決するため、左H4を刺絡。痛みは少しあったが腕は耳の所まで上がった。

 

7/317回目)一週間後

基礎データ

体温  37.0

脈拍  82/

血圧  109/69  

症状

前回とほぼ同じ内容

一週間の間を開けるためか左腕の前方挙上の可動域が元に戻ってしまう。

痛みはそんなに無いという。

治療内容

前回とほぼ同じ

 

8/78回目)一週間後

基礎データ

体温  36.8

脈拍  76/

血圧  105/71  

 

症状  前回とほぼ同じ内容

右肩・・前回と同じ。右腕の前方挙上に制限有り。右腕を上げていくと次第に肘が曲がりさらに上げて行くと右肩を反らすようになる。痛みはあまりない。

左肩・・左腕の前方挙上について。前回は耳の所まで上がっていたが、耳の少し手前で止まった。それ以上あげると少し痛みが出る。

新しい症状

右首筋の痛み:首を左に倒すと右首筋が引っ張られるように痛い。また、首を回すと、同所が痛い。

治療

1)右首筋の痛みについて。

右肩の拘縮が原因と思われるが、6種類の首の経絡テストを全ておこなったところ、1番の首を左に倒したときだけ右首筋が引っ張られるように痛いと言う。そこで、右H55を刺絡。もう一度首を左に倒してもらうと患者さんが「エッ!痛くない」と驚く。

2)右肩について

治療 1)の治療で右H55を刺絡したので、その効果を知るため右腕を前方挙上してもらった。患者さんは楽に上がるようになったと言うが、可動域はあまり変化なく、無理に上げようとすると体を反らせた状態になる。

再度、振り子体操、傘体操、うちわ体操を指導する。

3)左肩について

治療 1)の治療で右H55を刺絡したので、左腕を前方挙上してもらい痛みと可動域をみる、可動域の変化無し、ズキーンとする痛みはこないという。

左H55を刺絡した。変化は感じられず。

 

8/169回目)9日後

基礎データ

体温  36.9

脈拍  73/

血圧  105/63  

 

症状

右肩・・前回と同じ。右腕の前方挙上に制限有り。右腕を上げていくと次第に肘が曲がりさらに上げて行くと右肩を反らすようになる。痛みはあまりない。

左肩・・左腕の前方挙上について。前回は耳の所まで上がっていたが、耳の少し手前で止まった。それ以上あげると少し痛みが出る。

右肩が急性期の時、手を上げたり、寝返りを打ったとき、「ずきんとくる耐えられないような痛みが、今のところ左肩に起きないことがありがたい」と言う。

治療

左右の腕の前方挙上に制限があるので、左右の脇の下の圧痛点を探したが、発見できず。また、左右の手の指の陰経のH123に沿って指から手首まで圧痛点を探したが発見できず。

1)前回と同様に左右のH55を刺絡した。

痛みも、可動域も患者自身が「あら!」と言うほど改善があった。ついで、右H5左H5を刺絡して変化を聞いたが、先ほどのような変化はなかった。

2)左肩の可動域を超えた時の痛みの箇所の変化。

治療 

左腕を前方挙上すると三角筋の後部繊維に漠然とした痛み発生。

発痛域をマジックで囲む。左H5の刺絡後、痛む場所を指さしてもらう。肩の前面に痛みが移動した。次に、左H1を刺絡した。前面の痛み改善。。次いで、左H2を刺絡した。変わりないという。

 

8/2310回目)7日後

基礎データ

体温  37.1

脈拍  80/

血圧  116/62  

 

症状

左腕を前方挙上すると耳の少し手前で痛みが発生する。

右腕を前方挙上すると140度ぐらいまで上がる。可動域の改善有り。

治療

まず、H55を刺絡した。そして、再度左右の腕を上げてもらう。

左腕について

痛みが肩の上から二の腕の後ろに移動した。左H4を刺絡。二の腕の後ろの痛みは大いに改善した。可動域の改善は少しあり。

右腕について

痛みが肩の上から肩の前に移動した。右H16を刺絡。肩の前の痛みは大いに改善した。可動域の改善少しあり。

全体的には左右の腕の痛み、可動範囲の改善がみられた。治療前よりずっと楽に腕を上げられるようになったと言う。

確認のため、五十肩で問題になる結髪動作と結滞動作をしてもらう。いずれも問題なく動かすことができた。

 

考察

五十肩の発生機序と治療

関節包の内側の滑膜に炎症が起きると、痛みが発生し、関節包が厚くなって硬くなってくる。このように肩関節に炎症が起きると、腱板など回りの組織にも炎症が広がり痛みが起こり、可動域にも制限が現れてくる。このように五十肩の発生が滑膜の炎症から始まるとするならば、滑膜が膜構造であることからして、膜構造に影響を与えやすい副交感神経との関係が疑われる。

従って、治療はH55を刺絡するという自律神経的な治療、そこから派生した回りの組織の疾患には体性神経的な治療が必要になるのではないかと思う。

 

愛知県愛西市 とんぼ鍼灸院 田口 昭

 

最 近 の 症 例

 

1  青○さん   69歳  男性

   主訴  一月末より右の腰が痛くなってきて、立つ時と歩行時に痛かった。医者で薬をもらいマッサージや接骨院に通ったが改善されない。現在右のお尻のホッペが立って歩くと痛い。今までこれといった病気はなく体には自信があったのだが歳かな?と不安げ。

   治療  4/28 肩・背中からお尻まで筋緊張が強いので、コリの強い部分をEAPでゆるめる。

          左右H6F4の刺絡→百会の刺絡・・・全身が楽になったがまだお尻に圧痛あり。

          圧痛点の環跳付近で、低周波パルス10分。右F4F5の刺絡・・・痛みはほとんど感じない。

          左H3→左右H6F4の刺絡で終わる。・・・不思議だな、早く来れば良かったと帰る。

       5/01 まだちょっと痛いのでと来院。左右回転と後屈で腰に痛みがでる。

          左右F6F1→右F4F5→百会の刺絡・・・右の腰に重い感じが残る。

右の足指の圧痛点を探して、小指両側、親指(脾経)の圧痛点に円皮針を貼る・・・すっかりいい!と帰る。

まとめ 背中の筋肉にひどいコリがあってが、H6F4と百会の刺絡で楽になったようだ。あちこちで治療をして改善しなかったものが、井穴刺絡でその場で楽になるので驚く。この他にも筋肉の緊張がひどい時に先ずH6F4の刺絡をすることで、痛みの場所が限定され分かるようになる例がある。

 

 

 

2  加○さん   70歳  女性

   主訴  3月頃より夜眠れない。すっきり眠った!という感じがない。血圧148/85。今年は不眠を意識する頃より喘息のような咳が出ている。ばね指もあるし朝起きがつらい、冬はしもやけができると言う。

   治療  5/29 肩甲間部を中心にバンキー後、首肩のコリにEAP

H3の刺絡・・・空気が沢山入る。

          左右H6F4→百会の刺絡・・・肩の周りから皮が一枚剥がれた感じだ。

          左右H5の刺絡 で終わる。

       6/03 眠れるようになったが、首と肩が痛い。右腕を伸ばしての伸展・屈曲痛。頭は左側屈と後

屈、振向きで左側が痛む。

H2H5・・・水平伸展・屈曲痛はなくなる

H5H6,左右F1F6・・・肩周りの痛みとれる。

左右H6F4→百会の刺絡・・・首と肩の痛みすべて取れる。

   まとめ 不眠の治療をして欲しいと言われるが、副交感神経の緊張もあるようだ。ばね指は発症から長いし、先ず不眠から治してと言われ交感神経の抑制を目指した。眠れるようになったら次はばね指の治療とのことだったがその後来院なく、ばね指の治療はまだ。

 

 

 

1/2

3  本○さん   30歳  女性

   主訴  アトピー性の湿疹が顔、首周り、胸に出てジクジクして痒い。2年前から特にひどく、会社も辞めて引きこもりの状態が続いていた。つけていた薬がステロイドだったことを知り、怖くなって薬をやめた。知人の紹介で半信半疑で来院。顔、首周りに湿疹、特に目の回りの湿疹がひどく、涙が止まらなくコンタクトも眼鏡もつけられない状態。

 

    治療  5/31 肩に円皮針、合谷で低周波パルス。左右H5F5と左右F2F6の刺絡。H5F5に円皮針。

           治療が終わって・・・涙が止まった感じで目を開けていても楽だ。

        6/03 6/09 6/11 の4回で顔、首周りの湿疹が治まった。眼鏡も付けていられる。

    まとめ 4回の治療で湿疹が治まり目の周りもきれいになった。食べ物の指導と規則正しい生活の話をして、一週間ごとの治療とした。10回ほど続けて治療しその後様子を見る予定だ。

 

 

 

4  村○さん   60歳  男性

   主訴  血圧は降圧剤を飲んで160/962年程前にぎっくり腰をした時に、整形外科で首のヘルニアがあるといわれた。両腕、両脚のしびれで夕方になるとイライラするほど。仕事が忙しくて医者へも行けないので、今に良くなるだろうと我慢に我慢をしていた。

   治療   6/03  左右H6F4F5→百会→K1〜K4の頭部刺絡・・・脚の痺れが取れた。

        6/11 6/15 と同上の内容で治療。

          6/22  歩く時右のかかとが痛いという。しびれ感は来院時10とすると34になり、夕方も気にならない程度に。左右F34→左右F16・・・ふくらはぎが柔らかくなった。

              左右H64→百会→K1〜K4の頭部刺絡・・・右のかかとに違和感残るも他は良し。

        まとめ  こんなことなら早く来ればよかったと言う。仕事上のストレスも多くしびれと感じていたのは痛みだったのではないかと思われる。今までの治療の中で「頭部刺絡」が一番効果のあった例です。

             もう少し継続して治療したほうが良いと言うが仕事の都合で来院できないようだ。

 

 

 

5  山○さん   60歳  女性

   主訴  痔(出血性・脱肛)。以前に紹介した「2回の治療ですぐウォーキング再開した」症例の人。

        お風呂で出血し、旦那さんが驚いて治療を勧める。本人は不摂生すればこんなもんかなという程度で、時々痛みと出血が続いていた状態であった。

   治療  6/08 左F164右F264→百会の刺絡

       6/09 6/10 6/12 6/21 左F16右F26→左右H64→百会の刺絡

   まとめ 2年ほど前は痛みと出血が(2回で)治まったのでもう治ったと判断したようだ。その後時々症状が出るのは体調によるものと思っていたが、「この際しっかり治せ」というご主人の一言で5回通院して本当に楽になった。痛み出血は止まり、患部が柔らかくなってきたのは初めての体験か?「今後少し変と思ったらすぐ来ますのでよろしく」といわれている。
「井穴刺絡・頭部刺絡研究会」横浜
症例報告

2010.8.29

浜島治療院 浜島


症例1:筋萎縮性側索硬化症の進行例 79才男性
症例2:左片麻痺(脳梗塞後遺症) 83才女性
症例3:パーキンソン病 73才男性
症例4:群発性頭痛 34才男性
症例5:帯状疱疹 62才女性
症例6:前頭部皮膚癌?(前癌病変?)90才男性



症例1:筋萎縮性側索硬化症の進行例 79才男性

 診断名:筋萎縮性側索硬化症(ALS)

 主訴:週3回のリハビリを行うも病状の進行により
    廃用性筋萎縮とそれにともなう関節拘縮。
    着替えや入浴に支障がでるので何とかしたい。
人工呼吸器(気管切開)、胃ろう、膀胱留置カテーテル
 
 治療:方針 硬くなる、褥瘡ができにくい→H6F4+百会/週3回
       風邪気味で追加したら拘縮も良好→H5F5(4回目より追加)

    初回〜3回目(1週目) とりあえず継続

    4回目 風邪気味なのでH5F5追加
       
    5回目〜 拘縮改善の感触によりH6F4+H5F5+百会で継続

    10回目(開始より約3週経過)家族より「柔らかくなってきたみたい」とのコメント

    現在35回刺絡(12週経過)訪問入浴などからも拘縮改善のコメント有り。

 まとめ:H6F4、H5F5、百合、全井穴なども試行したが
     H6F4+H5F5+百会の効果が高い。
     ALSでは自律神経は障害されにくいとされるが、
     特に自律神経への刺絡で効果を見ることができた。
     ALS自体への効果は不明だが、拘縮の改善を見ることができた。
     

症例2:左片麻痺(脳梗塞後遺症) 83才女性

 診断名:脳梗塞後遺症、認知症、てんかん

 主訴:麻痺側の手の距離感が合わない、足が出ない。
    認知運動療法などの効果も頭打ちなので何でも試してみたい。
    
 治療:方針 全井穴+百会刺絡から減らしていき、効果のある井穴を探す。
   施術間隔は週3〜4回から減らしていく。

     全井穴/H5F5/H6F4/百会/麻痺側のみなどの組み合わせを試行。  

     4週間15回にわたる試行の結果としてH6F4+百会/週4回で安定。
     差し出された手を握ることができ、手引き歩行可能。
     現在8週経過、週2〜3回の刺絡で継続中。

 まとめ:効果の自覚が難しい患者さんでも井穴の選択ができた。
     片麻痺だが健側の刺絡も効果的。
     

症例3:パーキンソン病 73才男性

 診断名:パーキンソン病

 主訴:上手く歩けない。まぶたが重くてすぐに眠くなる。

 治療:H6F4+H5F5+百会にて手引き歩行可能。
    初回治療時はそのまま100mほど歩行訓練、翌日から筋肉痛。
    歩行訓練の強度を下げて週2回で継続中。

 まとめ:効果の継続、病状の軽快は認められないが、
     刺絡後に動きやすくなることを利用して
     筋力維持の運動が可能となる。
     

症例4:群発性頭痛 34才男性

 診断名:群発性頭痛

 主訴:就寝時に頭痛で目が覚め、2時間ほど痛くて眠れない。
    痛みが出てしまうと頭痛薬も効かない。
    アルコール摂取で頭痛がでる。

 治療:頭痛は頭部刺絡(百会や後頭部、側頭部)
    後頭痛:F4F5、側頚部痛:患側H6F4F5両H6F6
    H6F4、H5F5などをやっているうちに収まり、眠くなる。

    平常時にH6F4+H5F5+百会をしておくと2〜3日頭痛が出ない。
    徐々に治療間隔が延び、3週で治療終了。

 まとめ:発作時にも井穴頭部刺絡は有効だが、発作を起こさないためには
     平常時の施術が有効だった。



症例5:帯状疱疹 62才女性

 診断名:帯状疱疹

 主訴:脇腹に痛がゆい発疹。
    背中、腹部にもでてきた。(三カ所合計7個ほど)
    帯状疱疹では?との身内の指摘により病院を受診。
    医師から抗ウイルス剤を処方され、
    「しばらくは増悪するけど服薬を確実に」と言われた。
    帰宅後、初回の服薬直後に井穴刺絡を行った。

 治療:H5F5+百会
    治療直後の確認で軽快感があった。
    発疹の先端にあった水疱が消えている。
    翌日も症状軽快の為、経過観察とする。
    抗ウイルス剤の服薬は継続。
    そのまま増悪無く治癒。
 
 まとめ:帯状疱疹には井穴頭部刺絡。
     症状が十分に軽快していれば施術は1回で済む。


症例6:前頭部皮膚癌?(前癌病変?以前からの続き)90才男性

 以前は地元病院での治療、診断はできないとして大学病院を紹介されていたが受診拒否。
 増悪時はH6F4+百会、軽快時はてい鍼による全井穴押圧を
 週2回、24ヶ月間継続にて相当に軽快。

 初診の皮膚科の開業医の先生に前頭部、側頭部に前癌病変と診断され、
 前頭部はレーザー治療、側頭部は切除することになった。
 
 側頭部は完治。前頭部は多少じゅくじゅくするが、H6F4で改善する。継続中。

井穴刺絡研究会

                       2009年8月29日

 

                       発表者 たんぽぽ針灸院 岩永康幸

症例報告                http://tnpp.tamaliver.jp/  

 

@ 42歳女性 会社員  主訴 出産後の軽いむくみと高血圧

2009年12月 予定日より1週間程早く第一子を普通分娩で出産

 

2010年2月20日再来院(2009年8月から11月まで体調管理のため通院)

出産後血圧が上がり、ひどいむくみは引いたが完全ではない。出産前の血圧は100/70位だったが今は140/90位。

 

/20 140/85→106/68 F3・4・5 H3

/27 127/90→120/85 H6 4 百会 後頭部刺絡

/6  124/94→115/83 同上  ケイギョク膏を飲み始める。

/14 105/68  血圧安定し、母乳の出がよくなる。

/22 106/72  ずっと血圧安定し、体調いい。

その後、産休が終わる4月末まで週1回の治療を続ける。

 

(考察)この方は元来、血圧は低く台風や低気圧の通過で頭痛やだるさを感じる副交感神経緊張タイプの体質であったが、出産を期に交感神経が一過性に亢進したものと判断して井穴、頭部刺絡を中心に治療した。3回の治療で安定し経過良好。

 

A 39歳女性 主婦  主訴 片頭痛

初診 4/30 昨日朝より右コメカミ部がズキズキする。夕方から吐き気がして今朝までに3回吐く。今は右のコメカミ部と側頭部が痛い。目に光が入るとよくない。

 

若いときから頭痛持ちであった。4年ほど前に頭痛外来を受診し混在型の頭痛と診断され薬の治療を開始しようとしていた時に第一子を妊娠した。現在第二子出産後4ヶ月目だが昨日までひどい頭痛はなかった。この4年鎮痛剤も飲んでない。

 

(治療)H5 5 痛みが軽くなる。右F3→コメカミ部痛み出す。H5 5→痛み引き始める。右後頚部の違和感に対し右F4→コメカミ部ズキズキしてくる。3回目のH5 5で痛み引いたので治療終了。

(経過)痛み再発せずよくなる。その後8月12日まで軽い頭痛が2〜3回あったが頭を冷やし安静にしていたらすぐ治った。8/12夕食後、左側頭部がズキズキして嘔吐はしないが吐き気がして首が凝る。ふくらはぎから下がだるく背中の下部に鈍痛がある。

 

(治療)8/13 座位にてH5 5を2回して治まってくる。背中の鈍痛に対して百会の刺絡を2回したところ少し気分が悪くなる。(血圧を測るといつもより20位下がっていた)ベットに寝てもらい足の三里に灸3壮ともう一度H5 5。5分後背中の鈍痛もよくなっていたので治療終了。

 

(考察) 片頭痛にはH5 5がよく効くので先ずこれをやって様子を見、次の手を考えるといいと思う。座位で治療する時は脳貧血を起こすこともあるので患者さんの様子をよく観察すること。

 

 

B 47歳女性 会社員  主訴 左の耳鳴りと難聴

(来院までの経緯)7年ぶりに2009年11月下旬左の耳鳴りと低音部の難聴を発症する。耳鼻科でリンデロン5日分、メチコバール10日分と通気でよくなる。その10日後また同じ症状が起きたので、日本医大の耳鼻科を紹介され検査。イソバイド(利尿剤) メチコバール(ビタミンB12) アデホスコーワ(代謝改善剤)を処方され2週間でよくなる。

 

その後も、服薬を続けていたが3/20からまた同じ症状が出る。5日間ステロイド剤を服用するが変化なし。4/20から1週間一時的によくなるが、また同症状が起こり5/8日医大受診。上記3剤を処方されるがずっと飲んでいるのに治らないので鍼灸治療を思い立つ。

 

/9  A鍼灸院にて耳の周囲の鍼と後頚部のパルス治療を受けるが変化なし。

/10 B鍼灸整骨院にて自律神経免疫療法の鍼治療を受けるが変化なし。

 

(治療)5/10の夕方来院。H5 5→変化なし。右のF3→耳鳴りが小さくなる。左F3

→左右F4→百会の刺絡で耳鳴り10→3に減る。

 

翌日もう一度治療する。昨日帰ってテレビをつけたら音がよく聞こえた。低いゴーゴーという雑音(耳鳴り)は無くなり、シーというやや高い音がする。今は80%よくなっている。

3 4→H6→百会で耳鳴り95パーセント改善する。

 

/20 会社で会議中に再発。程度は5/10の半分くらい。H5 5は効かない。F3 4 百会の刺絡でよくなる。5/22聴力検査で高音部がよくなっているとのこと。

(考察)その後5/31日に再発するがその日の治療でよくなりその後再発していない。5/20と5/31の再発はともに会社でのストレスが発症の原因になっており、治療の経過をみても交感神経の興奮が何らかの作用をしていると推察される。(内耳のむくみとF3

 

 

C 51歳男性 公務員  主訴 慢性前立腺炎

(来院までの経緯)2009年7月 左下腹部の痛み、会陰部の鈍痛を感じる。 8月に泌尿器科(開業医)を受診し慢性非細菌性前立腺炎と診断されセルニルトン処方されるが、改善なし。

 

12月 医者を変える。細菌検査のほか尿流量測定、膀胱造影検査をしてセルニルトン、ユリーフを処方される。

 

2010年1月 大学病院泌尿器科を受診、ユリーフ、クラビットを処方される。

 

2010年4月 職場で移動があり強いストレスがかかり、やや気分が落ち込んだ。

 

(治療)5/17 初診 左鼠径部痛、左下腹部痛 尿道と会陰部の鈍痛 排尿障害はユリーフでよくなった。

左F34→左F126→百会  体が温まる。上記症状は10→7

 

翌日上記症状は10→4  5/20 役所でストレス→夜眠れなくなりデパス1錠を服用して寝る。この日は前立腺症状が消えた。

 

/22(二診)右の下腹部と鼠けい部が痛い。左も初診の半分くらい痛い。左F2634 右F34 百会

 

しばらく治療ができないので自宅で左右F34の井穴刺絡を指示。

 

/5(三診)精神的な落ち込みがひどくなったので、5/24内科受診(ソラナックス、デパス処方)これが効かないので、5/31精神科受診 うつ病と診断され(サインバイタル、ソラナックス、デパス、マイスリー、ロヒプノール処方)

 

(その後の経過)精神症状がひどい間、前立腺症状はほとんど感じなく、治療はうつ症状を対象に週1回続ける。6月中旬SNRIの副作用が出たのでサインバルタをパキシルに変更する。6月下旬よりデパス、ソラナックス中止。

/31 うつ症状はだいぶ落ち着いてきた。同時に程度は軽いが左足の付け根と会陰部に鈍痛が出てくる。H5 5 34を中心に治療継続。

 

/21 治療同上。 昼間にいやな眠気が起きるので数日前よりロヒプノールを中止したが夜眠れる。

 

(考察)慢性前立腺炎(慢性細菌性前立腺炎、慢性非細菌性前立腺炎、前立腺痛)は急性前立腺炎と違い症状がはっきりせず、症状の個人差と波があり、原因不明のことが多い。薬物治療で治らずドクターショッピングに走ることも少なくない。本例はストレスが肉体的には前立腺に精神的にはうつ症状として現れたものと推察される。どちらの症状にも井穴刺絡及び鍼灸治療は一定の効果を充分期待できる。

 

 

D 47歳女性 自営業  主訴 右の腰痛と右下肢のしびれ

(来院までの経緯)2010年2月 ギックリ腰で整形外科受診 湿布のみ。

 

3月 右足にしびれが出たので別の病院でMRI検査をうけ、ヘルニアと診断される。ロキソニン、ミオナール処方。経過思わしくないまま4月になると、せきやくしゃみで痛みやしびれが右足に走るようになる。

 

(治療) 6/15(初診)右ラセーグ徴候陽性(30度以下) 右F435→ラセーグ(50度)立って歩いてもらうと痛みはなくなっている。痺れは変化なし。

 

立位で右臀部の圧痛点2ヶ所に2寸―5番鍼→痺れ消失

 

/23 その後調子はいい。クーラーが効いているところで少し痺れが出るが普段はない。

 

/13 昨日起床時に何となく腰に違和感。夕方から痛くなりコルセットをする。今朝は昨夜より痛みが増している。痺れはない。F45→痛み半分以下に減る。

 

/16 治療翌日の午前中まで少し痛かったが午後から痛みなくなりコルセットもはずした。その後現在まで再発なし。

 

(考察)ヘルニアと画像診断されてもそれが痛みや痺れの原因であるとは限らない。(麻痺が生じているときはその限りではない。)骨や関節の変形が痛みの原因と誤解され治療を諦めているケースもある。その場で痛みの軽減を体験すれば希望を持って治療に臨める。


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